Uberはどういう感じで使われているのか
地域社会で発生するニーズをコミュニティの力で解決するサービスの成功例であるUberはどのように日常に溶け込んでいるのか。また、日常どのようにアメリカで使われているのか、筆者の実体験を日本人目線から紹介しつつ、現地アメリカ人の反応も紹介します。
UberやLyftというような、アプリを使ったカーサービス、いったいどんな感じでアメリカで日常使われているのかリアルな話が聞きたい、というリクエストをU-Siteの編集スタッフからもらったので、今回は私の体験を中心に話をしたいと思います。
Uber?Lyft?どこが一番人気?
Uberのようなサービス、私がUberと比較してよく聞くのはLyftというサービスです。それ以外にもいろいろと新しいアプリベースのトランスポーテーションサービスはありますが、多くはサンフランシスコエリアだけのサービスであったりするので、この2つが代表例で、特に使用できるエリアで考えるとUberが頭一つ出ているというところでしょうか。
Uberはご存知の通り日本でもありますが、やはりアメリカ本国とはいろいろな規制の違いで使い方は多少変わってくるようです。
アメリカとの違いはアマチュアドライバーがいるかどうか、というところだと思います。
アマチュアドライバーによるサービス
もともとUberはリムジンサービスのドライバーの稼働率を上げるために始まったサービスですが、現在はアマチュアやタクシードライバーも多く含まれます。ちなみにLyftはもともとコミュニティの人がそこのコミュニティーの人を助けるという概念で始まったので、ドライバーはアマチュアですし、料金はDonations(寄付)という形で支払われる概念です。
つまり、これらのサービスの多くはアマチュアのドライバーが支えているということになります。これらのアマチュアのドライバーを従業員としてみなすかどうか。現在集団訴訟に移っているというニュースを最近聞いたばかりです。
また、ドライバーが引き起こす事件も、発生しているのも確かです。
私のUber実体験
最近、私がロスアンゼルスからニューヨークに出張に行った時の経験をご紹介したいと思います。
JFK空港に夜遅く着いて、このままどうにかして約40キロほど離れたマイナーな住宅地に移動しなくてはいけないという状況でした。
考えられる手段は、
- レンタカーを借りて自分で運転する。
- タクシーで行く。
- そのほかの方法で何とか辿り着く。
という3択でしたが、先着している同行者がすでにレンタカーを借りて目的地に先着して待っているという状況だったので、1.は却下。2.のタクシーで行くことにしました。
タクシーに乗り込んで運転手に行き先を告げるとなんと140ドルもかかるということで、あまりにも高い料金に驚き、タクシーを降りてUberをトライしてみようということになりました。
料金はタクシーの半額以下!
幸いなことにJFK空港はUberが乗り入れ可能だったのでアプリで行き先を指定してリクエストしてみました(多くの空港では乗り入れ不可。しかし、アメリカのメジャーな空港では乗り入れOKになったところも多く、実際ロスアンゼルス空港はこの9月から乗り入れOKになりました)。すると約2分でピックアップ可能だということもわかり、料金も見積もり時点で68ドルとタクシーの半額以下、実際の料金も同じで、タクシーよりも快適で清潔で広々としたSUVで行くことが出来ました。
スマートな降車、チップを考える心配無用!
また、料金は予め登録してあるクレジットカードに自動決済されるので、車を降りる時にスマートに降りることが出来ます。
また、日本人の私たちにとってもしかしたら一番ネックなのがチップの支払いだと思いますが、Uberは自動的に料金に20%のチップを載せた額で請求されるのでチップの支払い額を減らす事はできませんが、一体いくら払えばいいのか困る必要は無しです。
客の評価が大切
Uberの運転手は過去の利用客の評価による点数がついていますので、とってもフレンドリーで、ナイスな対応をしてくれます。移動中もちゃんと目的地に向かっているか、手元の携帯で確認できるので安心です。
帰路もホテルからUberを呼びピックアップを待っていたら、高齢の白人女性3人組に声をかけられ、Uberを待っていると説明するとしきりに「ドライバーは安全なのか?」と聞いてきました。もちろんUberの運転手による事件が無いわけではありませんが、基本的には運転手はアマチュアとはいえ、顔も名前も車のナンバーさえアプリで出てきてしまうので、そのような心配は実際かなり低いのではないかと思います。
このようなサービスに対してアメリカ人は受容性が高いのだと思っていたのですが、今回の体験で、高齢の人々やスマートフォンユーザーでない人はネガティブ要素が強く働くケースもあるのだと知ることができました。
Uberは生活の中でどのように使われているのか
空港からの送迎は想像の範囲内ですが、一体アメリカではどのように生活の中でUberが使われているのでしょうか。
例えば弊社のスタッフは、食品のお買い物でも利用しています。食品を買いにスーパーまで行く時に、夫に通勤時に車に乗せてもらってスーパーで下車、その後夫はそのまま職場へ行き、妻は買い物が終わったらUberで帰宅という使い方もあるようです。
私の最近の使用例は車を修理に出さなくてはいけなくなった時です。朝の出勤時にディーラーまでは自分で運転して行き、車を預けてディーラーから職場へディーラーのサービスで送ってもらい、午後遅く修理が終わったと連絡が入ったら、職場からディーラーまでUberを使って移動して車を受け取りました。
コミュニティやソーシャルの力で移動を楽にする
時間が空いていて、車もあり、お小遣い稼ぎがしたいドライバーと、ちょい乗りが必要なユーザーのニーズをコミュニティやソーシャルの力で解決するUberというサービスは現在全米で使われています。同様の考え方でソーシャルの力でアマゾンの配達をより早いものにするアイデアなど、日本では規制でNGがかかりそうなサービスですが、訴訟や犯罪などの弊害も発生してもなお、利便性を評価するユーザーが根強く支持してこのようなサービスが育つ環境は我々日本人ビジネスパーソンは学ぶところが多いと思います。
商品開発のための現地実態調査
イードの米国子会社・Interface in Design, Inc.は、どのような製品に関してもフレキシブルなスタイルで、アメリカをはじめとした世界各国で調査を実施することが可能です。例えば、出張せずに現地の状況を把握することも出来ます。
皆様の会社の商品企画や開発、デザイン部の方々が、現地向けの商品を開発する際の一助(マーケットの状況や、製品の使用状況などを通した仮説の抽出など)としていただけるはずです。
ご希望に応じてプレインタビューを加えたり、観察調査を加えるなどのオプショナルサービスも提供可能ですので、下記よりお問合せ下さい。
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- 著者(森原悦子)について
- Interface in Design, Inc. COO/President。
武蔵野美術大学卒。インダストリアルデザイナーなどとして活躍後、旧イードに入社。定性調査やエスノグラフィーといった手法を得意とし、クライアントのグローバルな商品開発のコンサルティングリサーチを多く手がける。2011年8月より現職。