Apple Payって使われているの?

アメリカがカード社会であるというのは既知の事実ですが、Apple Payをはじめとした新しい決済方法(モバイルペイメント)の浸透具合はどうなのでしょうか。報道されていることと生活者の体感、日本の状況と比較しながら、リアルな姿をご紹介します。

ご存知のように、アメリカはカード社会です。コーヒー1杯買うのだって、カードで払います。クレジットカードを使うには、ちょっと金額が少ないけど…なんて躊躇はないのはご存知の通りかと思います。

さて、Apple Watchが出た時に、Apple Payがアメリカで一気に浸透するのでは、という話もあったかと思いますが、一体今の状況はどうなのでしょうか。

浸透には、まだまだ時間がかかりそう

2015年10月9日付けのMoney誌に、アメリカでは約9%の人がモバイルペイメントを使っているという記事がありました。

まずモバイルペイメントとは何を指すのでしょうか-この記事ではApple Pay、Samsung PayそしてAndroid Payなどを挙げています。

…ということは、どのペイメントも多くは携帯電話デバイスで使用すると考えても良さそうです。

使える場所はというとApple Payだけを取り上げても、現在使用可能な店舗はSTARBUCKS(言わずと知れたコーヒー店)、Whole Foods(オーガニック系のちょっと高級スーパー)、Subway(サンドウイッチチェーン店)、Walgreens(ドラッグストアのビックチェーン)、McDonalds(言わずと知れたメガファストフードチェーン)という具合に、どんどん広がっていっています。

Apple Payが利用できる、Apple Watch。1枚のクレジットカードには、ICチップが埋め込まれている。

使っている人はまだ見たことがない(筆者談)

私自身の経験で言わせていただくと、店舗で支払いをする際に使うクレジットカードリーダーにモバイルペイのマークは見るようになった気がします。しかし!残念ながら未だかつて使っている人を目撃したことがないのが実情です。

記事で取り上げた調査結果が示すように、(使える場所で)9%の人しか使っていないというのですから、私がまだ日常的に使用シーンを目撃していないのも納得です。

アメリカではまだまだ、店舗でのお買い物の支払いにはデビッドカードや昔ながらのクレジットカードが主流で、日本のような、おサイフケータイも一般的ではないですし、SuicaやPASMOなどのような電子マネーは使われていないといっても過言ではないと思います。

日本では、半数以上の人が電子マネーを使っている

ちなみに日本の現状はどうでしょうか。少し調べてみました。

FeliCa Networksの調査(2015年5月実施の調査、2015年8月発表)によると、携帯電話所有者の43%がおサイフケータイを所有していて、おサイフケータイ所有者の29.4%がおサイフケータイを使用しているということです。

仮に、携帯電話・スマートフォンの個人普及率を90%とすると、
0.9×0.43×0.294=0.113
∴日本のおサイフケータイ使用率は、11.3%
と、アメリカとあまり変わらない数字になりました。

では、「電子マネー」の使用率はどうでしょうか。

JCBの調査(2014年9月実施のインターネット調査、リンク先はPDFファイル)によると、「電子マネー」の使用率は66%、保有率は79%、ということのようですので、電子マネーということであれば、日本はかなり普及が進んでいるようです。

実際、お財布の中はどうなっているの?

Starbucksのプリペイドアプリの画面例。

アメリカの現状としては、ICチップが埋め込まれたクレジットカードでさえ、やっと普及し始めたところだと感じます。実際に私の財布に入っているアメリカのクレジットカード3枚中1枚しかICチップが埋め込まれていませんでした。(念のために、数人に確認してみましたが、同じような結果でした。)

しかしながら、iTunesのギフトカードやGoogle Playのギフトカートを始めとして、さまざまなショップのギフトカードはあらゆるところで売っていますし非常に一般的です。つまり、プリペイドという概念が支持されていないというわけではありません。むしろ非常に支持されていると感じます。

例えばSTARBUCKSでも、プリペイドカードをアプリにしてポイントと連携させたりしています。プリペイド支払いと携帯電話のアプリ連携は確実に広がっていると思います。ただ、IC等を使った決済情報の交換ではなく、あくまでも2次元コードをリーダーでスキャンするというレベル止まりであるということです。

私がアメリカに来る前は、日本よりもすべてが進んでいるのかと幻想を抱いてましたが、支払いシステム一つとってもこのような状態ですので、全部が全部そうでもないということが皆さんにも感じていただけたでしょうか。また、日本の常識=他の国の常識でないという、良い一例であるかと思います。

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森原悦子
著者(森原悦子)について
Interface in Design, Inc. COO/President。
武蔵野美術大学卒。インダストリアルデザイナーなどとして活躍後、旧イードに入社。定性調査やエスノグラフィーといった手法を得意とし、クライアントのグローバルな商品開発のコンサルティングリサーチを多く手がける。2011年8月より現職。
書籍のお知らせ:京都女子大学家政学部生活造形学科の教授である山岡俊樹先生が、2016年6月に『サービスデザイン: フレームワークと事例で学ぶサービス構築』という本を出版されました。この本では、サービスデザインの考え方やデザイン手法について解説してあります。出版にあたり、アメリカの実例をコラム形式で紹介してほしいという依頼を受け、U-Siteでのコラムのうち、本の内容に合うコラムを2本選び、それを一部変更したものが掲載されています。

公開:2015年10月19日
著者:森原悦子

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