購入ボタンの先にあるもの
eコマース・サイトで再注文を増やすには、最初の注文を受けた後に、顧客を大事に扱うことだ。
最近、あるマーケティング・マネージャと注文確認メールのユーザビリティのレポートについて話をした。彼女は、興味深いリサーチではあるが、確認メールが出されるのは顧客が注文をした後だから、彼女のマーケティング・チームにとってあまり関係がないことだと言った。
確認メールは最初の販売プロセスにかかわるものではないことは確かだ。しかし、再注文に影響を与えるのだから、インターネット・マーケティング戦略の一部と考えるべきだ。
eコマースにおける最も困難な課題は、信頼を構築することだ。ウェブでは、企業はバーチャルな存在でしかない。顧客は製品に触れることはできない。大きい建物や立派な内装に圧倒されることもない。ハイテンションな販売員とおしゃべりすることもない。単に画面上で点灯するピクセルを眺めるだけだ。
顧客は、なぜ代金を支払うのか? 顧客は、なぜ注文した品物が壊れることなく届くだろうと信じるのか、サイトに掲載された説明と写真から期待したものだろうと信じるのか?
再保証の役割
言うまでもなく、これらの疑問にウェブサイトはポジティブな方法で答えることができる。eコマースのユーザビリティのベスト・プラクティスで述べているように、例えば、自社情報の掲載は会社と経営陣に信頼性を与える。しかしながら、結局のところウェブページはただの情報でしかない。本当の信頼を築くには、本当に製品を届けなければいけない。
総合的なユーザーエクスペリエンスのコンセプトに従えば、画面上のデザインだけでなく、ユーザーが関わる全てについて考慮しなければならない。確認メールはユーザーに安心感を与え、不安を抑えるのに大きな役割を果たす。納品に遅れが出る場合は、特にそうだ。また、順調にことが進み、予定通りに配達できる場合でも、情報提供のために適切な確認メールを送れば、信頼を増すことにつながる。こうすることによって、ユーザーは、将来も、また問題が発生したときにも、ちゃんとした扱いが受けられると期待するようになる。
商品の包装や、同封される領収書、その他書類にも気遣いが必要だ。商品受け取り体験に関するユーザビリティ調査を行っているeコマース・サイトはほとんど無いと思う。私が受け取るパッケージをもとに言えば、ほとんどの企業はこの問題を完全に無視している。Godiva チョコレートは、優れた開封時のユーザビリティを実践している、数少ないeコマース・サイトの1つだ。
新しく顧客を開拓するよりも、既存の顧客と取引を続けるほうが簡単だということは、古くから知られる教訓だ。既に取引を行ってくれるとわかっている人たちは、また取引をしてくれる可能性が高いのだ。これはどのような販売チャネルにも言えることだが、eコマースにとっては特に重要だ。なぜなら、受注後のフォローアップと配達を効果的に行えば、最初の注文が信頼の証明になるからだ。
eコマースの最大の課題は、最初の注文をとることだ。その後のプロセスで失敗してはいけない。最初の注文を受けた後、顧客を大事に扱えば、将来さらに注文をしてくれる可能性が高まるのだ。