嫌われたデザイン要素を機能させることは可能か

ユーザーというのは、繰り返し酷い経験をしたことで、あるデザインテクニックを嫌になってしまうと、常にそれを避けるようになるため、ほぼ永久にそれを使えなくなってしまう。

ユーザーから忌み嫌われているウェブデザインのアイデアというのはたくさんある。そのうちの最悪のもののいくつかについては、以下のリンクを参照してほしい:

「ウェブユーザビリティの基本ガイドライン」セミナーで私がよく聞かれるのは、こういう問題のあるデザインというのは、なにもかもが悪いのか、ということである。ユーザビリティ上の問題を引き起こすことの多いものもうまく活用することはできないだろうか。

そう、うまく活用できることもある。

PDFがわかりやすい例である。ウェブ上でもイントラネット上でも、PDFファイルというのはユーザーの悩みの種であることが多い。販売パンフレットや年次株主レポート人事規定を字の塊だらけのPDFファイル1枚だけでオンライン上に載せるのは、まちがいなくユーザビリティ上の問題の原因となる。そうしたコンテンツはナビゲーション可能な情報空間に変換して、ウェブにふさわしいライティングのためのガイドラインに従って書き直したほうがずっとよいのである。

とはいうものの、PDFにも使い道はある。彼らはただインタラクティブな情報アクセスの領域に属してないというだけだからだ。後からの参照用にレポートをダウンロードしたいとき、PDFというのは非常に優れている。実際、私自身はこの目的で利用している。(例として、ソーシャルメディアのユーザビリティについてのレポートを参照してほしい。なお、これは無料でダウンロード可能である。また、そのレポートのリンクが、ドキュメントのダウンロードが可能なゲートウェイページにユーザーを誘導するガイドラインにどうやって従っているかにも注目してほしい。PDFファイルに直リンクして、「PDFショック」を起こさせるのとは対照的なやり方をしているからである)。

不幸なことに、質の悪いデザインテクニックをうまく使おうとしても絶望的な結果になることは多い。ユーザーはこうしたデザインをあまりにも嫌っているため、一瞬のうちに必要なさそうなものとして仕分けてしまい、自分の持っている悪い第一印象を乗り越えることができないのである。

スプラッシュスクリーン

スプラッシュスクリーンはやめよう。そう、それは広く批判の対象となっており、それに対してユーザーが取る唯一の反応が、「イントロをスキップする」ボタンに直行するだけであるというのは周知のことである。しかしながら、今月初めに中国のユーザーを対象に実施したユーザビリティ調査にあった、Shanghai Peninsula(ホテル)のスプラッシュスクリーンは素晴らしいものだった:

厳密にいえば、これはスプラッシュスクリーンとは言えないかもしれない。というのも、ページにはナビゲーションの選択肢が載せられているからだ。それでも、実際のところ、ページには何のコンテンツも含まれておらず、大きな写真があるだけなので、提供されている機能はスプラッシュスクリーンと変わらない。案の定、このページを見たユーザーは、即、クリックして、離れていった

ユーザーのこうした反応は私がいつも予想しているとおりのものである。つまり、ユーザーがスプラッシュスクリーンを忌み嫌っているというのは初めて聞く話ではない。

しかしながら、このとき、そのユーザーはShanghaiへの出張を予定していて、ホテルの場所について、特に知りたいと思っていた。そこは彼女の出席する会議に行くのに便利な場所なのだろうか、と。スプラッシュスクリーンを見れば、この質問の答えは一目瞭然である。なぜならば、ホテルはBund(Shanghaiで最も格が上とされるエリア。とはいえ、ビジネス街であるPudongはHuangpu Riverの対岸になるが)にあるということがすぐに見てとれるからである。

テスト協力者がスプラッシュスクリーンに全く注意を払わなかったのは残念なことである。そこでは彼女の最大の関心事の1つを表示することで、高いユーザビリティが提供されていたというのに。

今までに様々なスプラッシュスクリーンで酷い経験をしてきているので、そのユーザーはこのスプラッシュスクリーンについても却下してしまったというわけだ。代わりに、彼女は即、ナビゲーションメニューに行き、「所在地」のリンクを探そうとしていた。(ロケーションファインダーについては別のガイドラインを参照)。

たった1つのウェブサイトが、ユーザーの数え切れないほどの他サイトの訪問によって累積された影響を払拭するのは不可能に近い。(インターネットのユーザーエクスペリエンスについてのJakobの法則を思い出してほしい。すなわち、ユーザーは大半の時間をあなたのところ以外のサイトで過ごしている)。

では、Peninsulaに写真を外すようにアドバイスするかって? そんなことはしない。うまい説明のやり方だと実に思うからだ。しかし、皮肉ではあるが、その写真がもっと小さくて、ホテルの特徴を強調する箇条書きのリストと組み合わされていたなら、例えば、「Bundに位置(写真をご覧ください)」といった箇条書きが含まれていたなら、よりインパクトがあったかもしれない。

ダイアログボックスのLightboxオーバーレイ表示

数年前、私はLightboxを年間最優秀インタラクションデザインテクニックに選出した。先週、オーストラリアで行ったテストでも、LightboxはWebjetのサイトでユーザーがフライトを探すのに役に立っていた:

このデザインのユーザビリティの特徴に注目してみよう:

  • コンテクストがある。つまり、オーストラリアのユーザーだけに表示される。
  • シンプルである。選択肢は2つ、ボタンが1つしかない上に、可能性が一番高い選択肢がデフォルト値としてあらかじめ選ばれている。
  • たとえ、ユーザーがアメリカ版サイトのURLを打ち込んだとしても、オーストラリア版のサイトに行くことで得られる顧客の利益がわかりやすく強調されている。

先週の調査では、他の多くのLightboxが過去のユーザビリティ調査ですいすいと機能したのと同様、このデザインもうまく機能していた。

ところが、哀しいことに、週の後半に、別のオーストラリア版サイトで、オーバーレイしたダイアログボックスを曲解したこの不愉快な例に遭遇してしまった:

実装の仕方は違えど、これでは広告デザインで一番嫌われているテクニックであるポップアップとなんら変わりがない。中国のスプラッシュスクリーンで見たように、オーストラリアの被験者もこのポップアップのようなオーバーレイ表示を積極的に却下していた。ここ2週間のテストから得た教訓の1つは、人というのは世界中で変わらないということである。つまり、嫌われたウェブデザインは、即、追い払われてしまう。

(ユーザブルなEメールニュースレター購読時のインタフェースについては別のガイドラインを参照)。

ウェブのデザイン要素の不愉快な乱用は、結局のところ、優れたウェブサイトのための井戸に毒を入れるという結果になる。なぜならば、ユーザーは悪気のないときですら、そうしたデザイン要素を避け始めるからだ。

うっとうしい点滅するバナー広告というのは、ひょっとすると、消滅すべき最初のデザインアプローチだったのかもしれない。そのうえ、それはあらゆる類似したデザイン要素を含むことができるというウェブサイトの能力を破壊した、最初のデザインアプローチだった可能性もある。1999年に「広告のように見えるものすべて」ウェブデザインの間違いリストで10位であることを私は宣言した。それ以来、毎年、調査で示されるのは、ますますバナーは無視されるようになってきているということである。

今のところはLightboxのオーバーレイは有用なデザインテクニックのままである。我々皆がそれを乱用することで駄目にしてしまわないようにしよう。

公開:2011年4月19日(原文:2011年3月14日)
著者:Jakob Nielsen
原文:Can Hated Design Elements Be Made to Work?

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