UXにおける態度調査と行動調査

態度調査は自己申告データのかたちでユーザーの意見や感情を把握するものであり、行動調査はユーザーの行動を観察するものである。

UXにおける態度調査と行動調査という手法は、ユーザーと製品やサービスとのインタラクションについて、それぞれ異なるが相互補完的な知見を提供する。定性調査手法と定量調査手法の違いのように、両者はどちらも有用だが、アプローチと手順が異なる。

態度調査と行動調査の定義

態度調査とは、ユーザーの主観的な経験・嗜好・期待・感情を掘り下げ、彼らの意見や態度の背後にある「なぜ」を理解することを目的としている。

態度調査(attitudinal research)は、製品やサービスについての考え・感情・意見に関する質問をすることで、参加者から自己申告データを収集する。

対照的に、行動調査はユーザーの観察可能な行動に焦点を当て、実際の行動とインタラクションを追跡してデータを収集する。

行動調査(behavioral research)は、ユーザーと製品とのインタラクションを直接観察することにより、ユーザー行動に関するデータを提供する。

これらの調査手法を併用することで、ユーザーエクスペリエンスの全体像を把握し、ユーザーが言うことと彼らが行うことを融合させることができる。態度調査と行動調査を組み合わせることで、効果的かつ共感的なデザイン上の意思決定を行うことが可能になるのである。

態度調査:自己申告の考えや感情。行動調査:観察されるユーザーインタラクション。

態度調査:主観的経験について質問する

態度調査とは、ユーザーの心の中にしか存在しないため、直接観察することができないもの、すなわち、ユーザーの考え・感情的反応・嗜好・メンタルモデルに関するデータを収集しようとするものだ我々はユーザーの心を読むことはできないので、彼らの主観的な経験を引き出すようにデザインした質問をする必要がある。

顔の表情・皮膚コンダクタンス・体温・脈拍数・目の動きなどの生体計測をすることで、参加者がどの程度興奮しているか、あるいはストレスを感じているかについての限定的な客観的データを入手することも可能だ(しかし、そうしたデータによって、ユーザーが実際に何を考え、感じているかがわかるわけではない。つまり、ユーザーに質問するのが、ユーザーエクスペリエンスのそうした側面を調査する最も信頼性の高い方法ということである)。

態度調査は自己申告データを扱うため、彼らの回答に影響を与えないように注意が必要だ。アンケート・質問票・インタビュー・フォーカスグループを実施する際には、中立でバイアスをかけない質問を作成し収集された回答が参加者の本音や意見を本当に反映したものになるようにすることが不可欠である。

特定の答えを示唆したり、暗黙の前提があるような誘導尋問は、結果を偏らせ、ユーザーの態度についての視点をゆがませる恐れがある。「我々のUIがクリーンでモダンなデザインであることに同意しますか?」は、ほとんどのリサーチャーが避けるべきである(ここではわかりやすいように誇張している)誘導尋問の例である。

ユーザーの記憶は不完全なもので、社会的望ましさのバイアスによってゆがんでいる可能性もあるため、過去の行動や将来の意図について質問することは、不正確な結果をもたらしかねない。したがって、できる限りそうした質問を避け、その種のデータを収集するには行動調査を用いることが重要である。ただし、過去の習慣や将来の意図に関する質問のデータは、それを正確な測定値ではなく不完全な推定として限定的に扱う限り、問題ない。

態度調査手法の例

アンケート調査アンケート(訳注:ユーザビリティテスト後に行う):これらのツールは、ある製品に対するユーザーの嗜好・満足度・知覚されたユーザビリティに関する自己申告データを収集するために利用される。広範囲に配布することができるので、幅広いユーザーベースの態度を反映した定量的なデータを入手することが可能である。

インタビュー:1対1のインタビューは、製品に関するユーザーの態度・信念・願望についての知見を提供する。オープンエンド型の質問とフォローアップインタビューを通して、微妙なニュアンスを理解することができる。

フォーカスグループ:ユーザーのグループに参加してもらい、製品についての意見を出し合うフォーカスグループは、ダイナミックな意見交換を促進することで、ターゲットユーザーに共通する態度や嗜好を明らかにする。ただし、集団思考には注意が必要である。

行動調査:ユーザーを観察してその行動を学ぶ

態度調査(調査の対象となる現象が参加者の心の中にのみ存在する)とは異なり、行動調査が調べるのは観察可能な行動である。

行動調査は、ユーザーが製品内をどのように移動し、利用しているかに光を当て、ユーザーに聞くだけではわからない利用パターンや障害を明らかにする。このアプローチは、より良いパフォーマンスと使いやすさを実現するためにユーザーインタフェースを最適化する上で極めて重要である。

行動調査手法の例

ユーザビリティテスト:この手法では、特定のタスクを完了するために製品とインタラクトするユーザーをリサーチャーが直接観察する。ユーザビリティテストでは、ユーザビリティの問題やユーザーが苦労している領域を特定することができる。

アイトラッキング:この手法は、ユーザーが画面のさまざまな領域のどこをどのくらいの時間見ているかを追跡し、ユーザーの注目度やエンゲージメントに関する知見を提供する。

アナリティクス:アナリティクスは、ユーザーがどこをクリックし、マウスを動かし、スクロールしたかのデータを集めることで、製品内のユーザーの活動を集約し、ユーザーが自然にインタラクトするページや機能、また無視されている領域を浮き彫りにする。

A/Bテスト:A/Bテストでは、ウェブページやアプリの機能の2つのバージョンを比較し、ユーザーエンゲージメント、コンバージョン率などの行動指標において、どちらのバージョンがより良いパフォーマンスを示すかを確認する。

ユーザーが言うこととユーザーが行うこと

ユーザーが言うこと(態度データ)と行うこと(行動データ)は、しばしばかなり異なる。人間の記憶は不完全であり、自分の内的経験を明確に説明するのが難しいこともあるからだ。さらに、ユーザーは社会規範を反映したり、リサーチャーに同調したりするために、無意識のうちに自分の意見を変えてしまうことさえある。

しかし、我々は両方のタイプのデータを持つ必要がある。ユーザーが何を考えて感じるかも、どのように行動するかも、ユーザーエクスペリエンスの本質的な部分だからである。我々のデザインをユーザーがどのように知覚しているのか、そして彼らの実際の行動パターンがどのようなものなのかを知ることは価値がある。ユーザーの態度とユーザーの行動のギャップは、多くの場合、知見の宝庫である。

態度調査と行動調査の統合

実際には、UX実践者が行う調査の多くは、態度データと行動データの両方を含む複合的なものである。

定性的ユーザビリティテスト、日記調査、およびコンテキストインタビューはすべて、行動データと態度データの両方を収集するために利用できる、UX調査の中核となる手法である。我々はユーザーの行動を直接観察して何をしているかを確認する一方で、オープンエンド型の質問を通じて、ユーザーが何を考え、感じ、期待しているかについての情報も収集する。両方の側面を組み合わせることで、「何を」と「なぜ」の両方の情報を得ることができるからである。

たとえば、ユーザーはeコマースの決済の最後にある「完了」というボタンをクリックする前に躊躇するかもしれない。我々はそのような不安を直接目の当たりにして、ユーザーがまさに何を躊躇しているのかについて多くの仮説を立てることができる。もしかすると、購入について再考しているのかもしれないし、あるいはクレジットカードに請求がいくのか、注文の前に確認のステップがあるのかなど、具体的に何が起こるのかわからないのかもしれない。オープンエンド型のフォローアップ質問は、ユーザーがなぜ躊躇したのかを正確に把握するのに役立つ。

態度調査と行動調査を組み合わせることで、UXデザイナーはユーザーが何をするかだけでなく、なぜそうするのかを理解し、ユーザーの期待と行動のギャップを埋めることができるのである。

UXデザインへの応用

バランスの取れたUX調査戦略は、デザイン上の意思決定に情報を提供するために態度調査と行動調査の両方の手法を用いる。たとえば、アンケートやインタビューからの知見により、より詳細な検討が必要なユーザーの不満点を特定することが可能だ。その後、ユーザビリティテストやアナリティクスなどの行動調査手法を用いれば、ユーザーがそうした領域とどのようにインタラクトするかを観察でき、デザイン改善の明確な方向性が得られるだろう。

こうした統合的なアプローチを取ることで、機能的でユーザーフレンドリーであるだけでなく、ユーザーの態度や行動の理解に深く根ざしたデザインになる。

結論

態度調査と行動調査を区別することは、ユーザー中心の効果的なデザインを作り出そうとするUX専門家にとって不可欠なことだ。それぞれの調査が独自の知見を提供する一方で、両者を組み合わせることで、ユーザーエクスペリエンスを総合的に理解することができるからだ。2つの手法を連携させて用いることで、デザイナーはユーザーの期待に沿った、ユーザビリティが最適化されたソリューションを実現し、最終的にユーザーが価値と喜びを感じる製品を生み出すことができるだろう。