ユーザーのページネーション設定と「すべて表示」
リストが長いときにはデフォルトでページネーションをしてもいいだろう。しかし、ユーザーがリストのアイテムをすべて表示するように画面をカスタマイズしているなら、その設定を尊重しよう。
ページネーションは多数のアイテムを1つの画面でさらっと見せたいときの必要悪である。例えばこのコラムのような記事がそれにあたるが、コンテンツがリニアなフローになっているとき、それを複数の画面に分割するというのはほとんどしてはならないことである。ユーザーが単に記事を読みたいだけで、その記事から動きたくないと思っているときには、その記事全体を1つの長い画面で見せるほうがわざわざもう一手間かけさせるよりもよいからである。
ページネーションが便利なのは、eコマースのカテゴリーページ、検索エンジン結果ページ(SERP)、記事のアーカイブ、写真アルバムのようなリストを作るときである。ここでは、ユーザーの目的はリスト全体を熟読することではなく、特定のアイテムを見つけて、その接続先のページにクリックスルーことにある。
リストのアイテムに優先順位をつけることができれば、ユーザーは探しているものをリストの最上部付近で見つけられるようになる。ユーザーの注意を引き付け、応答時間を向上させるには、最初はかなり短いリストを表示し、必要に応じてページネーションのオプションを提供して、そのリストをさらに下まで見られるようにするのがよい。
アイテムをすべて表示
ユーザーの多くは1ページですべての選択肢を見たいと思っており、商品を見るのに次々にページをクリックしたくはない。ユーザーテストでよく目にするのは、すべて表示というオプションが一定のユーザーの役に立っているところだ。しかし、さらに重要なのは、すべて表示というオプションがそれを利用しないユーザーの邪魔をしないことである。だが、それが提供されてないと、文句を言うユーザーはいた。
すべて表示はソートするのが難しいリストや、特定の属性というよりは個人の嗜好が問題になるアイテムにとって、特に重要である。ファッションや芸術、花、さらにはチョコレートのような分野では、ユーザーはページごとに限られた数件のアイテムしかないより、たくさんのアイテムを流し読みするほうを好むだろう。
しかしながら、すべて表示は便利ではあるが、表示アイテム数には上限を決めるべきである。データベースが大規模だと、特定のキーワードに対するヒット数は容易に数千、あるいは数百万になりうるが、そこまで長いリストを作っても意味がないからである。
この上限値は100件前後であることが多い。しかし、ユーザーにとってのアイテムの流し読みしやすさ及びページを長くすることで応答時間にどのくらい影響が出るかによってその値は増減しうる。
アイテムをN件表示
ページごとに何件のアイテムを表示するかをユーザーに選択させるサイトは多い。しかし、ポップアップメニューによって画面ごとにユーザーにアイテムを10件、あるいは20件、30件、40件表示させるのをを許可させるというようなものはやり過ぎであることが多い。
通常、もっと良いのは10件あるいは20件といったデフォルトの数値を1個だけ提示し、あわせて、さらに多くのアイテムを見たい人向けに、それ以外の数のオプションを補うすべて表示を提供することである。ポップアップメニューの代わりにこのデザインに必要なのは、シンプルなボタン1つだけだ。したがって、操作にかかる時間はずっと短縮される。
すべて表示を実行するとページが大きくなりすぎて扱いにくくなりそうなら、代わりに、ユーザーには、例えば、10件と50件といった2つの数値を与えて、そのどちらかを選ばせればよい。そこでは2番目の数はデフォルトよりもかなり大きいものになる。
(10件と20件のような)比較的近い2つの数値から選択しなければならなくなると、ユーザーは表示の設定を試みるという認知的負荷を負うよりは、次のページボタンをクリックするほうがましと思うだろうからである。
カスタマイゼーション
表示オプションを選択できるようにしているのであれば、そのコンピューターはほとんどの場合にはユーザーが表明した設定を尊重すべきで、次からはそれをデフォルトとして用いる必要がある。しかし、驚くことに、これを実行しないどころか、ユーザーに繰り返し選択を強いるサイトやアプリケーションがあまりに多い。
カスタマイゼーション機能についてのユーザビリティ調査でわかったのは以下の2点である:
- ユーザーのほとんどはカスタマイズしたいと思ってない。つまり、彼らが好むのは単にデフォルトの設定を利用することである。したがって、デザイナーは責任を持って、たいていのユーザーの役に立つ最適なデフォルトの設定を選び出さなくてはならない。それこそがほとんどのユーザーがこの先経験することになる唯一の設定だからである。
- カスタマイゼーション機能はそれ自体がユーザーインタフェースなので、それ単体でユーザビリティ上の問題を抱えることもある。特にデザイナーがやり過ぎてしまって、ユーザーに多くの選択肢を与えすぎてしまうときにそれは当てはまる。
すべて表示機能にはこのような問題はないし、20件表示 対 100件表示といった選択にしたときにもこうした問題は出ない。そのうえ、両者には多数のメリットがある:
- タスクを行っているというコンテクストにおいて、つまり、人々が表示オプションを変えたほうがいいかもしれないと思う、まさにそのとき、その場所で、カスタマイゼーションは登場する。したがって、設定画面にわざわざ行く必要がない。
- 選択肢がわかりやすいので、説明が必要ない。
- デフォルトの表示に対して選択肢を1つだけしか提供しないので、容易に選択を実行できる(ユーザーにポップアップを開かせ、例えば、10件のアイテムを、20件あるいは30件、40件に増やすか、というさらなる決断をさせるのではなく)。
すべて表示、あるいはすべて表示が提供できないときの多めのN件表示のなにが悪いというのだ。こうした機能を提供するのは間違いなく賢明なことなのである。しかし、ユーザーがわざわざ自分がどの設定でいくかを表明したときには、どうぞそれをしっかりと覚えておいてほしいとは思う。
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調査レポート(英語)
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— U-Site編集部 (@UsabilityJp) May 14, 2013