航空チケットのインタフェース

  • 黒須教授
  • 2001年5月21日

電車やバスのチケットは、その購入プロセスも単純であり、そこに書いてある情報の量が少ないため、それほど問題があるとは思えないが、航空券については問題の塊であるといってもいいだろう。

まず、購入プロセスの問題がある。最近は、旅行代理店から直接搭乗券が渡されることも多くなったが、少なくとも以前は航空券を購入して、空港のチェックインカウンターでそれを搭乗券に変えてもらう必要があった。利用者にとっては面倒なこうしたシステムを採用している理由としては、航空券に様々な種類があること、オーバーブッキングという仕組みがあることなどが考えられるが、特に後者は航空会社の勝手であって、利用者無視も甚だしいと思っている。鉄道の指定券のように、特定の便を予約した段階で、その人の利用権は確定してしまい、それに乗ろうが乗るまいが、それはその人の勝手であり、乗らなかったからといって会社側が損をすることにはならない、というようなシステムを導入することは難しいのだろうか。

搭乗券のチェックインにしても、最近は自動機の導入が盛んになってきているが、長蛇の列に並んで、時間を気にしながらカウンターの順番を待つというのは嫌な気分である。先日、ストックホルムのアーランダ空港で、自動機が置いてあったので、試しに利用してみたが、実に簡単で、座席の選択も可能だし、あとはクレームタグを切り取って、テープを荷物にからませ、それを荷物用の窓口に渡すだけで済んだ。こうしたシステムの改善は大いに推進されるべきだろう。

次にチケット本体の問題に移ろう。これは昔のインパクト型プリンタを採用していた名残なのだろうか、まず使用されているフォントがすべて同じ種類、同じ大きさであることが問題である。要するに、乗客にとって重要な情報、たとえば、乗客氏名、出発地点と到着地点、航空会社、便名、日付と時刻、ゲート番号、それに座席番号などが、それ以外の情報の中に視覚的に紛れてしまっているのである。

たとえばdocument numberとか、date of issueとか、endorsements/restrictionsとか、fare calculationとか、taxやそのtotalなどの部分は、基本的に乗客には関係がない情報である。こういう情報は、航空会社の人間が必要になったときに参照できればそれでいいだけのもので、もっと小さい文字にするとか、裏面に印刷するとか、場合によってはバーコードに変えてしまうとかできないのだろうか。そして、ユーザにとって必要な情報をもっと目立つフォントと大きさで表示し、(いちいち老眼鏡をかけないでも)確認できるようにしてくれるべきだと考えている。さすがに搭乗券の方は、ユーザに必要な情報が大きくシンプルに印刷されていて、分かりやすくなっているが、ともかくチケットの方には問題が多いと思う。

情報の印刷の仕方にも問題がある。KUROSU/MASAAKIMRというのはどうしてKUROSU/MASAAKI MRとスペースの一つも入れられないのだろう。日付にしても11MAR1900とせずに、11 Mar 19:00とできないのだろう。このように必要に応じて、スペースを入れたり、部分的に小文字を使ったり、:などの区切り記号を入れるだけでも大分読みやすくなるはずだ。

こうしたことも慣れの問題なのかもしれないが、50回以上海外に出かけている私でもいまだに慣れることができず、いつも不満を感じている。

もちろん航空会社の場合はIATAという国際組織が元締めになっていて、インタフェースを変更するとなると、それこそ全世界の航空会社で一斉にやり方を変更することになるから大変だ、ということは想像できる。しかし、ユーザ側がこうした不便を押しつけられていることを知らないのであれば、それだけでも問題だし、そうした問題を知っていながら何も改善しようとしないのであれば、なおさら問題である。

荷物の紛失などについての保証の考え方、ゲートが変更になったときの一方的な通知の仕方など、空港での職員の対応にしても、どうも航空会社というものは顧客中心主義になっていないし、ましてや人間中心主義になっていないと思われる。(あれで良く「快適な空の旅をお楽しみください」などと言えたものだと思ってしまう)。

航空機を移動の手段として利用する機会が増えてきた最近であればこそ、ドキュメントデザインの改善を含めたシステム全体の再構築を検討すべきだといえるだろう。