ICT機器の初期利用体験:
iPad mini Retina編

iPad mini Retina用にiCloudのIDを新規に取ろうとすると、そのセキュリティ質問は回答しにくいものばかりだった。キーチェーンやらセキュリティコードという新しい謎々が一切のヒントなくやってくる。終わったときには相当くたびれてしまった。

今回は、ちょっと肩の力を抜いて、大好きなApple批判をやっておきたい。大好きなAppleについての批判ではなく、僕はスノビッシュなAppleを批判することが大好きなのだ。もちろんお馬鹿な僕が体験したことで、読者の皆さんならスイスイとこなしてしまうことなのかもしれない。

今回はiPad mini Retinaに関することなのだが、当然ながら金を出して買ったりはしない。クレジットカードのポイントがたまったので、今更のiPad mini Retinaをもらうことにしたのである。これまでiPadやiPad miniは持っていたが、Retinaの画面は綺麗だ、という話を聞いて、それなら試してみよう、と思った次第。そして、いつも買ってから苦労してきたことを思い出して、今回はきちんと初期利用について記録をとってみることにした。

開梱

まずは開梱である。開梱すると、いつもどおりシンプルな梱包になっている。外箱だけはやたら格好良い。その中には本体と、ACアダプタと接続ケーブル、それに4枚ほどの説明書や要らんAppleシールなんかが入っている。この説明不要なほど使いやすいんです、というアピールがまず気に入らない。とても気に入らない。ほんとうにそうなんですか、と疑う気持ちがムラムラと沸いてくる。

まず本体を覆っている透明プラスチックシートのカバーを外すのに一苦労。どこに爪を引っかければいいのか、瞬間的には分からなかった。いいんです。これはぎこちない初老のユーザに特有な現象なのかもしれないのだから。

次に電源を入れてみる。初期充電がされてなかったのか、倉庫に長い間放置されていたからなのか、電源が入らない。それで充電ケーブルをACアダプタにつないで一晩待つことにした。しかし、これはAppleに限らずSonyなどもそうなのだが、独自のUSBケーブルを使っている。どうして一般のミニUSBケーブルを使ってくれないのだ。そんなことをしたら沽券に関わるとでも思っているのだろうか。気位の高い会社だ。

いよいよ初期設定である。それにしても随分いろいろなことを登録させられる。まず困ったのはIDの設定。これまでに複数のiPadやiPad miniについてやってきたが、記録魔の僕としては迂闊なことに、そのたびに忘れてしまっていて、思いつくかぎり入れて見たけどだめ。それで新規にiCloudのIDを取ることにした。ただ、iCloudって何ですか、っていう疑問には全く答えていない。取説もなければ説明もない。分かる人には分かればいいんです、的な態度が気に入らない。

まずIDの設定。思いつくものはどれもこれも既に使ってしまっているようで、新規なIDを考えつくのに時間がかかった。今回はもちろん、それを記録しておいた。やっかいだったのはパスワードの設定。お節介なことに、英文字の大文字と小文字を混ぜて、それに数字を加えることを義務化している。そんなこと自己責任の範囲内なんだから、テキトーに受け付けてくれよといいたかったが、頑固なiPadは「不完全な」パスワードを拒絶しつづける。それで今回は、これも記録した。

回答しにくいセキュリティ質問

その次、質問を三つ登録することになっているのだが、それらは下記のようなものだった。最初の質問用には

  • 十代の頃の親友の名前は…(コメント、以下同様)友達はいろいろいましたけど、誰にすべきでしょう。唯一無二の親友なんていなかったし。それに何人もいたら誰を入れたかを覚えとかなきゃいけませんね。
  • 初めて飼ったペットの名前は…最初というのが何時のことやら忘れてしまいました。
  • 初めて覚えた料理は…そんなこと覚えていますかって。目玉焼きあたりが無難なのかなあ。
  • 初めて映画館で観た映画は…それも覚えてる筈無いって。
  • 初めて飛行機で行った場所は…随分飛行機に乗りましたけど、すでに忘れてしまっているがな。
  • 小学生の時に好きだった先生の名前は…さあて、色々と先生はいたけど、特に記憶にないなあ。

要するに、記憶が定かでないような設問があり、また回答を一意に確定しがたい設問がある。次の質問用には

  • 憧れの職業は…年齢によって変わってきたんですけど、どれを書けばいいんでしょう。
  • 好きな絵本の題名は…フランダースの犬とかロビンソンクルーソーとか複数あったんですけど。
  • 初めて所有した車の名前は…昔のことなんで忘れてしまっています。まあ若い人なら覚えているのでしょうが、初老のユーザにとっては困難な設問になります。
  • 子供の頃のニックネームは…これまた学年や学校によって違っていたんですけど。クロとかカラスとかクロちゃんとか、マッサーとか、まあいろいろありました。
  • 学生時代に好きだった映画スターや登場人物の名前は…あまりにたくさん居すぎてしぼりきれません。西部劇だけでもゲーリークーパー、アランラッド、ランドルフスコット、などなどといますので。
  • 学生時代に好きだった歌手またはバンドの名前は…同様です。

まったく…、と段々腹がたってきた。三番目の質問用には

  • 両親が出会った町の名前は…そんなこと僕が知ってますかってば。まあお見合いだったから東京なのかもしれませんが、東京の麹町、それとも千駄ヶ谷町、それとも日比谷公園…わかりません。
  • 初めての職場での上司の名前は…35年前のことながら僕は覚えてるけど、まだ就職していない学生の人には意味がないですね。
  • 子供時代を過ごした町の名前は…たくさん引っ越ししましたんで。
  • 初めて遊びにいった海の名前は…海の名前って太平洋ですか、それとも逗子とか葉山とか江ノ島とかですか。
  • 初めて購入したアルバムの題名は…写真のアルバムですか、いやきっとLP盤のことでしょうね。そしてCDをアルバムって言ってるんでしょうね。しかしそんなことそもそも覚えてますかって。
  • 好きなスポーツチームは…スポーツ嫌いなんです。

という具合だ。他のシステムでは、母親の結婚前の姓(mother’s maiden name)は、みたいに一意に確定するし、忘れることもないような設問が書いてあることが多い(ま、父親が再婚した場合には面倒かもしれないが)し、そもそも設問を自分で設定できるようにしているケースもある。なんか選択肢は多いものの、それが意味をなしていない、ということにApple関係者は気がつかないのだろうか。

新しい謎々が、一切のヒントなくやってくる

さて、次にiCloudキーチェーンの設定があるが、そもそもキーチェーンって何、という疑問には一切ヒントがない。そんな不親切な、と思うのだが、それがAppleのやり方なのだ。分かる人はスイスイと、分からない人は(恩恵を被ることはできないかもしれないが)テキトーに、という方針なんだろう。分からないまま、キーチェーンを設定する、を選択すると、iPadパスコード(パスワードとは言わない)をiCloudセキュリティコードとして使用しますか、と来る。キーチェーンが分からないところにiCloudセキュリティコードという新しい謎々がやってくる。ま、適当にパスコードを設定する、を選んだが、その選択が後でどのように操作に関係してくるのかは分からない。

すると電話番号を入力したあとで、Siriを使用するかどうかを聞いてくる。ここには「Siriとは? デバイスに話しかけるだけで電話をかけたり、メッセージを送信したり、メモを作成したり、天気をしらべたりできます」と簡単な説明がある。ま、Siri程度については予備知識もあったけどね。それで、ここでは、Siriを使用、を選択する。

次に診断。おい、もういいかげんにして早く使わせてくれよ、といいたくなる。下の説明には「弊社の製品とサービスの品質向上にご協力いただけます。診断データには位置情報が含まれる場合があります」とある。協力なんかしたくないから「送信しない」を選ぶ。

え、まだあった。Appleにユーザ登録する、と来た。「登録すると製品についてのお知らせを受け取ったり、サポートに素早くアクセスしたりすることができます」とあるので、そろそろイライラしてきたこともあって余計なお知らせはいらないと、スイッチをオフにする。ただ、右側にあるスイッチのグラフィックをオフ位置にすればいいのかと思うと、それは動かない。要するに、ただ「次へ」にタッチすればいいらしい。

ふう、ようやく「ようこそiPadへ」となった。「さあ、はじめよう!」とありますが、相当くたびれました。ま、これが使いやすいといわれるAppleのUIなんですね。不愉快なUXでした。以上、ご報告まで。

公開:2014年9月1日
著者:黒須教授

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