携帯電話料金のわかりにくさ

今回のテーマは、携帯電話契約の時に直面する料金体系の複雑さと、その結果としての分かりにくさについてである。携帯電話料金がユーザ中心設計ではなく、キャリア中心設計になっている現状は早急に改善されるべきだろう。

携帯電話料金の問題

今回のテーマは、携帯電話契約の時に直面する料金体系の複雑さという話だ。例として僕が契約したワイモバイルを取り上げてしまうが、各社同様の状態の筈で、特にワイモバイルさんに恨みがあるわけではない。

スマホにまつわる料金については多々、ネットでも語られている。たとえば

等々である。そして、三番目の日経ビジネスには、「料金の仕組みを知ると、改めて、携帯主要3社の料金は横並びなんだと、実感すると思います。横並びで、膨大な利益を得ているわけです。」とも書かれている。ただそこには、そうしたキャリアのあり方の批判までは書いていない。おそらく日経としての配慮があるからだろう。

複雑な料金体系

問題は料金体系の複雑さとその結果としての分かりにくさであり、UCDの立場からすれば当然批判されるべきことである。スマホ料金は、初期費用としての本体料金と、運用費用としての通話料と通信料から成り立っていると考えていいと思うのだが、たとえば「パケット定額サービスも、通話無料サービスも基本資料料にコミ込み。シンプルでおトクな料金プラン」と書かれていても、実はどういうことなのか良く分からない。しかもMNPを使ってキャリアを変更し続けたほうが結果的には割安になるという情報も流れていて、そうなら特定のキャリアに義理立てする必要はない訳なんだろう、という疑問もうまれる。

本体価格については、24ヶ月分割というのが一般的だが、たぶん2年もたたないうちに、毎月幾らに相当していたのかなど忘れてしまう人が多いだろう。さらにいつになったら2年が経ったのかをきちんと覚えている人も少ないだろう。

通信料については、ワイモバイルでいえば、スマホプランにはSとMとLがあり、それぞれ月額は2980円、3980円、5980円となっている。それぞれについて月間データ通信料は最大1GB、3GB、7GBとなっているが、自分の使用量がどのくらいになるかは見当が付かない。「まあよく使っているのはLINEとメール受信程度だから」というと、店員はMプランを勧めてくれた。異議をさしはさむべき根拠を僕は持っていない。だからそれを受け入れるしかなかった。

それに追加して「スーパーだれとでも定額」というサービスもある。スマホとタブレットを使っているユーザには、S、M、Lのそれぞれについて「シェアプラン」というものがある。そして、「通話定額サービス」「ヤフー定形サービス」「補償サービス」「スマートフォンタブレット専用サービス」「アフターサービス」があり、それぞれ500円から1000円のオプション料金が毎月加算される。さらに「家族割引サービス」や「光おトク割」なんかがある。どれをどう組み合わせていいかが分かりにくく、結局店員に相談し、その勧めにしたがってしまうことになる。

結局、こうすることにした

結局、僕はスマホを型落ちのNexusにして本体価格は0円、スマホプランはMにしてシェアプランを適用した。ただし、「Enjoyパック」と「ワイドサポート」「あんしん基本パック」というオプションは付けられてしまった。それを付けないと契約できないといわれたからだ。しかし店員は親切にもそのパックは買った月のうちに解約してくださいね、無駄な出費になりますから、と教えてくれた。それにもかかわらず面倒で、何となく忘れたまま現在に至っている。多分、同じような人は多いのではないか、と思いながら。

とにかく、この料金体系の複雑さは何とかして欲しい。現状は、ユーザを混乱させ、その間にキャリアや販売店にとって都合のいい選択をされてしまうのだろうとしか思えない。僕の知り合いにICTリテラシーの高い人がいるのだが、彼女にそのことを話すと、「私は別に気にしていない。MNPも使わずキャリアはずっとdocomoだし。どれだって大して違いないでしょ」という。そんなところなのかもしれないが、キャリアとしては一人につき僅かずつでも儲けが多ければトータルとしては莫大な利益になるだろう。

どうしたらいいか

こうした契約システムでは、契約時に実際の料金がどのくらいになるか分からない仕組みになっているため、その時点ではなく、実際に利用を開始してから、料金が気になった当日にその日までの今月の料金を簡単に確認できる機能がついていたらどうだろう、と考えた。月半ばに料金が意外に高くなっていればそれ以後は少し利用を抑えることになるだろう。キャリアとしてはうれしいことではないかもしれないが、膨大な利益を得ているのだから、少しはユーザサービスをすべきなのではないだろうか。また、ユーザが自分の使い方だったらプランLの方がいいかも、と思えば簡単にプラン変更ができるようにしておく仕組みも必要だろう。

いずれにしても、現在の状態は異常というべきだ。ユーザのことが全くといっていいほど考えられていない。ユーザの立場では、少しでも得をしようとしたら、本体0円をねらい、MNPを利用して適宜キャリアを移り変えるのが基本なのだろうが、さらに毎月の利用料金についてもユーザ側にとって有用な情報が提供されるべきだろう。携帯電話料金がユーザ中心設計ではなく、キャリア中心設計になっている現状は早急に改善されるべきだろう。

公開:2015年12月4日
著者:黒須教授

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