音声アシスタントとスマートスピーカーに関するアンケート調査
イードが実施したアンケート調査より、音声アシスタントやスマートスピーカーの利用状況、スマートスピーカーを「持っているのに使わない理由」、保有者の満足度などを紹介します。
株式会社イードは、音声アシスタントとスマートスピーカーに関する調査を実施しました。
調査概要
- 調査手法
- アンケートパネルへのWebアンケート
- 調査期間
- 2022年5月13日~5月19日
- 回答者
- 全国20~69歳男女
- 有効回答数
- 2,839s
- 回答者構成比
- 性年代均等回収
音声アシスタント利用者は5割強、日常利用者は1割
まず、デバイスを問わず音声アシスタントの利用経験について聞いたところ、利用したことがあるのは全体の5割強、「日常的に話しかけている」のは1割という結果でした。
2019年実施の調査結果と比べると、利用経験が「1回もない」割合が5.7ポイント減っており、利用経験者がやや増えていることが分かります。(※2019年の調査にあわせ20~40代で集計)
年代別に見たところ、必ずしも「若年層の方が利用率が高い」わけではなく、特に「日常的に話しかけている」割合はどの年代でも1割程度であり、年代による差があまりないことも分かりました。
4割は音声アシスタントに話しかけることに抵抗を感じている
続いて、「音声アシスタントに話しかけることの抵抗感」について聞いたところ、4割は「抵抗がある」と回答しました。
利用状況とかけあわせてこの結果を見ると、利用頻度が高くなるほど抵抗感を感じる人が減るのは当然として、「日常的に話しかけている」人でも2割弱が抵抗を感じているという結果でした。
「Hey Siri」「OK Google」といった表現に抵抗を感じる人もいるようで、自由回答では「呼び名を好きなものに変更したい(女性30代)」という要望もありました。また、「スピーカーの方から話しかけてほしい(男性40代)」など、利用者側から「話しかける」のではなく、音声アシスタント側から働きかける機能を望む声もありました。
スマートスピーカー保有率は1割強。「持っていても使っていない」人もいる
ここからはスマートスピーカーに焦点を当てます。他の機器とあわせて保有状況を聞いたところ、スマートスピーカーを持っているのは12.1%でした。タブレット保有率36.9%と比べると大幅に低く、ロボット掃除機14.1%よりやや低いという結果です。また、スマートスピーカー保有において年代による大きな差はありませんでした。
続いて、スマートスピーカー保有者に利用頻度を聞いたところ、4割強は「週4日以上」と頻繁に使っていることが分かりました。一方で、「月1回」「それ以下」「使っていない」の合計が25%であり、保有者の4分の1は「持っていてもあまり使っていない」状況にあることも分かります。
「持っていてもあまり使っていない人(月1回以下)」にその理由を聞いたところ、多かったのは「使う機会がない(40.7%)」「使うメリットを感じない(31.4%)」という理由でした。「誤作動・誤認識する(15.1%)」「意図通りの反応をしてくれない(14.0%)」といった性能に関する理由は1割強にとどまっています。
キャズム理論を援用して考えると、「音声で指示を出して操作する」というのは新しい体験(行動様式)であり、慣れるまでは無意識ながら負荷がかかります。買った時点では使う想定をしていても、実際使ってみるとこの負荷を超えるほどの利便性やメリットを感じなかった人が、利用をやめてしまった可能性があります。3番目の理由にあるようにスマートスピーカーでできることの多くは「他のデバイスで代用できる」ことであり、利用をやめてもデメリットが少ないことも要因と考えられます。
利用用途は「音楽再生」が最多。「家電操作」は今後増える可能性あり
スマートスピーカー利用者に利用用途を聞いたところ、最も多いのが「音楽再生(72.7%)」、続いて「天気予報を聞く(58.7%)」でした。
「家電操作」は今のところ3割弱にとどまっているものの、スマートスピーカーと家電を連携していない人にその理由を聞いたところ、最も多かったのは「連携できる家電がない」であり、今後IoT家電が増えていくにつれ「家電操作」利用率も高まっていく可能性があります。
自由回答では「全ての家電を管理したい(男性40代)」「もっと幅広い家電で使えるようになってほしい(女性30代)」など、今後の家電操作に期待する声がありました。また「家電との連携がもっと簡単になっていってほしい(男性50代)」という、連携の操作性向上を望む声もありました。
スマートスピーカー保有者の6割強は「満足」している。ただし聞き取りの精度や会話の性能の向上を望む声も
スマートスピーカー保有者にスマートスピーカーの満足度を聞いたところ、6割強は「満足」と回答しており、「満足していない」は1割にとどまりました。
自由回答では、スマートスピーカーの価値として「手がふさがっている時に便利(女性40代)」「目が離せないときや、その場を動けないときにも使える(女性50代)」など、“手がふさがっている/身動きがとれない時でも使える”ことが挙がりました。また、「PCで検索するより早い(男性60代)」など“すぐに使える“ことに価値を感じる人もいました。
一方で、「もう少し聴き取りの精度を上げてほしい(男性30代)」「もっと会話ができるようになってほしい(女性40代)」など、性能の向上を望む声もありました。また、「何ができるのか、一覧で知りたい(男性40代)」「使い方がよく分からないので、取説があればいい(女性60代)」など、使い方の理解を深める手段がほしいという声もありました。
まとめ
今回は調査結果より以下のことを紹介しました。
- 音声アシスタント利用者は5割強、日常利用者は1割。
- 音声アシスタント利用率は2019年の調査実施時よりやや増えている。
- 4割は音声アシスタントに話しかけることに抵抗を感じている。
- スマートスピーカー保有率は1割強。「持っていても使っていない」人もいる。
- スマートスピーカーの利用用途は「音楽再生」が最多。「家電操作」は今後増える可能性がある。
- スマートスピーカー保有者の6割強は「満足」している。ただし聞き取りの精度や会話の性能の向上を望む声もある。