ミレニアルズがアメリカ全体の約半分のワインを飲んでいる理由

2015年のアメリカのワイン消費の約半分はミレニアルズによるものでした。年々この傾向は拡大しているそうですが、ワインがミレニアルズに人気がある理由は何なのか。人気の理由の鍵は、さまざまな分野で同様な動きが見られる広告手法でした。

  • 森原悦子
  • 2016年3月15日

カリフォルニア・オークビル産のワイン

先日、USA Todayの記事で2015年のアメリカのワイン消費の約半分(42%)はミレニアルズだったというものがありました。(参照記事:Study: Millennials drink nearly half of all wine in the U.S.

他のジェネレーションと比較してもミレニアルズのワイン消費は高く、また3分の2が女性であったということもわかっています。

ミレニアルズは好むワインの産地にも特徴があって、オレゴンやチリ、ギリシャ産といった、最近注目の産地を好む傾向があり、ベビーブーマーがカリフォルニアを好む傾向に対して違いが見られたということでした。

ミレニアルズは、なぜワインを親よりも飲むのだろうか

この記事を受けて、その理由を探る記事が出てきました。Medill Reports Chicagoの2016年3月9日付けの記事、Why Millennials Are Drinking More Wine Than Their Parentsにその理由がいくつか解説されていました。興味深いので私見も混ぜながら紹介してみたいと思います。

ワインに対して偏見がないことに加えて、以前よりも質が良く新しい選択肢が増えてきた

以前は良いワインは限られた地域にしか無かったので、ベビーブーマー世代は伝統的な産地と、決まった味を好む傾向にあるのに対して、今は質が良く新しい産地のワインが沢山出てきていること、またミレニアルズにはワインに対して偏見がないことが消費を促す一因であると、記事には書かれています。つまり幅広いバラエティーから、自分の審美眼(舌)により、良いものを選ぶようになったということだと思います。

私は、この傾向はワインに限ったことではなく、食べ物やさまざまな分野でこの傾向が見られると思います。ミレニアルズは他の世代に比べて、ミックスカルチャー環境で育っているため、沢山の選択肢から偏見なしに新しく質の良いものを選ぶ手法に長けているのだと思います。

ブログやソーシャルメディアが新しいワインの広告手法

質が良く新しいものを、沢山の選択肢から選ぶ…それはとても魅力的な手法ですが、実際、行うとなると大変なことです。「選ぶ」という行為のためには何らかのツールが必要です。そのためにメーカーは広告というツールで消費者の背中を押しています。新しいワイン生産者に多大な広告費があるわけではないというのは明白です。

ビールはまだ、広い世代、さまざまな収入層に支持されていますが、広告手法は伝統的な広告マーケティング手法を使って多大な宣伝費を使っているケースが主流です。しかしワインは(特に新しいワイン生産者は)伝統的ではない手法によって拡がりを見せているようです。その手法とは、ブログやソーシャルメディアといったミレニアルズに好まれる方法でした。

「wine usa」で検索してヒットしたTwitterアカウント。世界各地の生産者がアメリカでワインを広めようとしているのがわかる。

ブログやソーシャルメディアを使った広告により、ミレニアルズには「ワインはいつも新しくてエキサイティングなものがある」という感覚と同時に、ブログなどから見つけ出す「楽しさ」というベネフィットを感じているところがキーポイントなのかもしれません。

ちなみに、ビールがミレニアルズに人気が無いのではなく、ミレニアルズは「クラフトビール」が人気であると他の記事で最近読みました。クラフトビールと新しい産地のワインがミレニアルズに好まれる理由は、かなり近しいのではないでしょうか。

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森原悦子
著者(森原悦子)について
Interface in Design, Inc. COO/President。
武蔵野美術大学卒。インダストリアルデザイナーなどとして活躍後、旧イードに入社。定性調査やエスノグラフィーといった手法を得意とし、クライアントのグローバルな商品開発のコンサルティングリサーチを多く手がける。2011年8月より現職。