購入を検討する海外自動車ブランドの特徴とは

海外自動車メーカーのブランドイメージ調査

今回、海外自動車のブランドイメージ調査を行いました。また、自家用車として購入を検討するブランドを聞いたところ、ある特徴が明らかになりました。

  • U-Site編集部
  • 2020年2月7日

以前、イードでは、国内自動車ブランドイメージ調査を行いましたが、今回は海外自動車ブランド20社のイメージを調査しました。

調査概要

調査手法
インターネットアンケート
調査対象
全国 20代/30代/40代/50代/60代以上の男女、性年代均等割付
対象者条件
海外自動車ブランドを1つ以上知っている
有効回答数
2,658サンプル
実施期間
2019年11月20~26日
調査企画・実施
株式会社イード

自動車ブランドの認知度

対象ブランドに対して「知っている」と答えた割合(認知度)を算出しました(認知度は国内ブランド9社も含めて調査しました)。以下がそのグラフです。

国内ブランドの方が海外ブランドよりも認知度が高いという結果でした。国内ブランドの認知度トップはトヨタでした。

海外ブランドではBMWが認知度トップとなりました。日本での販売台数が多いブランドが上位にランクインしています。販売台数が多いブランド以外では、Porsche・Ferrari・Lamborghiniなど、スポーツカーが有名なブランドも上位にランクインしています。

図
各自動車ブランドの認知度

認知度を男女別に見てみると、国内ブランドでは大きな差は出ませんでしたが、海外ブランドは認知度が低いブランドほど男女差が大きくなっていることが分かります。

図
男女別の、各自動車ブランドの認知度

海外自動車ブランドに対するイメージ

認知している海外ブランドそれぞれについて、あてはまるイメージを回答してもらいました。提示したのは以下の18個のイメージワードです。

「先進的/革新的」「安全に配慮している」「堅実」「信頼できる」「伝統を感じる」「高級感がある」「ステータスが高い」「技術力がある」「国際的(グローバル)」「好感が持てる」「社会に貢献している」「身近に感じる」「親しみやすい」「デザイン力がある」「ワクワクする/面白い」「オリジナリティがある」「挑戦的」「将来性がある」

以下の図は、海外ブランドとイメージワードをコレスポンデンス分析した結果です。

コレスポンデンス分析では、類似の項目は近くに、異質な項目は遠くにプロットされるマップが出力され、数字だけでは分からない項目間の関係性を視覚的に捉えることができます。今回のようなブランドイメージの他、競合他社と自社の商品を比較して違いを可視化したいときなどに用いられます。略して「コレポン」と呼ばれることもあります。

このマップを見てみると「信頼」軸・「親しみやすさ」軸・「挑戦的」軸・「高級感」軸・「デザイン力」軸の5軸が読み取れます。

「信頼」軸の方向にあるVolvoはIIHSの衝突安全試験で最高点を獲得している車種も出していて、また歩行者用エアバッグや衝突回避システムなどをいち早く取り入れた、特に安全性に配慮しているブランドとして有名です。

「信頼」軸の対極に伸びる「挑戦的」軸の方向にはTeslaがあります。Teslaは、ちょうど調査実施期間中の2019年11月21日に近未来的なデザインの電動ピックアップトラック『Cybertruck』を発表しました。機能面もデザイン面もほかのブランドとは一味違っているのが特徴です。

「親しみやすさ」軸のMINI・FIATは、ほかのブランドに比べて小型の車種が多いため、手に届きやすいブランドと認知されているようです。

Mercedes-Benz・BMW・Audiなどのドイツ車は「高級感」軸と「信頼」軸の間に位置していることから「高級で信頼できる」ブランドとして認知されているようです。一方、同じドイツ車でもVWは「信頼」軸と「親しみやすさ」軸の間に位置していることから前の3社とは異なるイメージを持たれていることが分かります。

図
海外自動車ブランドとイメージワードをコレスポンデンス分析した結果

また、下の図は、全ブランドの年代ごとのイメージマップを出力したあと、Jeep以外のブランドを削除したものです。このマップを見てみると、Jeepは年代によってイメージが異なっており、若い人は「デザイン力(がある)」というイメージを持っていますが、年代が上がるにつれて「親しみやすさ」のイメージが強くなっています。SUVという言葉が出始める前は、Jeepといえば4WDやオフロード車の代名詞だったこともあり、上の年代の方は「Jeep」に馴染みがあるのかもしれません。一方の若い世代はオフロードでも走行可能なスペックや、Jeepならではともいえる独特のデザインから「デザイン力(がある)」というイメージを持っているのかもしれません。

図
全海外自動車ブランドの年代ごとのイメージマップを出力したあと、Jeep以外のブランドを削除したもの

購入を検討してもいいと思うブランドの特徴とは…

回答者が「知っている」と回答した海外ブランドを対象に、自家用車として購入を検討してもいいと思う海外ブランドを聞いてみました。最も検討率が高かったのはBMWでした。

一方で「海外ブランド車を欲しいと思わない」は36.3%という結果でした。また、「自家用車を欲しいと思わない」と回答した割合も22.1%でした。

図
購入を検討してもいいと思う海外自動車ブランド

また、購入検討率と先のイメージワードの関連性を調べたところ、購入検討率と「信頼できる」というイメージワードに相関関係があることが分かりました。以下の図は、購入検討率と、「信頼できる」の回答率で作成した散布図です。この2つの要素の相関係数は0.87となっており、強い正の相関関係がみられます。実際に購入を検討するとなれば信頼できるブランドを選びたいと思う人が多いようです。

相関関係とは、2つの変量の間で一方の値が変化するともう一方の値も変化する関係のことを指します。一方が増加するにつれてもう一方も増加することを「正の相関」と言い、一方の値が増加するにつれてもう一方の値が減少することを「負の相関」と言います。この相関関係の強弱を数値化した値が「相関係数」です。-1~1の間でとられ、0に近くなるほど相関関係が弱くなります。正の相関は1に近く、負の相関は-1に近くなります。

図
購入検討率(縦軸)と、「信頼できる」の回答率(横軸)の散布図

最後に

今回はコレスポンデンス分析でブランドごとのイメージを可視化したり、相関係数を用いて関連性を数値化することで購入検討率の高いブランドの特徴を明らかにしました。イードではこれら以外にも様々な手法で調査が可能です。詳しくはお問い合わせください。

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2月7日12:35訂正:「MINI・FIATは、ほかのブランドに比べて低価格の車種が多い」について、社内から、「小型の車種が多い」のほうが適切ではないか、との指摘がありましたので、そのように訂正しました。