UXライティング:実務者からよく寄せられる質問

NN/Gの「Writing Compelling Digital Copy」講座の受講者から寄せられた、UXライティングに関するよくある質問への回答を紹介する。

NN/Gの「Writing Compelling Digital Copy」講座の講師として、私は毎回の研修で、何を書くべきか、どのように構成すべきか、そして、制作中のプロダクトの体験を文章によってどう支えるべきかについて、重要でタイムリーな質問を取り上げている。

この記事では、私が頻繁に受ける質問をテーマ別にまとめた。実務者がAIの回答を以前より批判的に検討するようになり、実務経験のある人による、より深く、細かなニュアンスまで踏まえた考察を求めるようになるにつれて、寄せられる質問も鋭く具体的になっている。この記事をきっかけに、UXライティングについて新たな疑問がいくつか浮かぶかもしれない。

平易な文章と読みやすさ

どの程度の読解レベルを想定して書くべきか?

これは研修で最もよく寄せられる質問の一つである。一般の読者に向けて書く場合は、小学6年生から中学2年生程度の読解レベルを目標にしよう。NN/Gのアイトラッキング調査によると、ユーザーが読むのはページ上の文章の約20~28%にすぎない。より低い学年相当の平易な文章にすると、読み書きの能力にかかわらず、誰もが情報をより速く、少ない負担で処理できる。

読解レベルは、Microsoft WordのFlesch-Kincaid読みやすさ指標や、Hemingway、Grammarlyなどのアプリを使って推定できる。

読解レベルを下げると、高い教育を受けた読者を対象外にしてしまわないか?

いいえ。この質問は、「対象読者は経営幹部です」「ユーザーは医師です」といった形で頻繁に寄せられる。専門家であっても忙しく、注意を逸らされやすく、画面上では流し読みをしている。NN/Gの調査では、高度な教育を受けたユーザーを含め、平易な文章があらゆる読解レベルの人に役立つことが一貫して示されている。時間を節約でき、理解しやすいことは、誰にとってもありがたいものである。

ユーザーがページの20%しか読まないなら、文章を短くすると、読んでもらえる量がさらに減るのではないか?

簡潔な文章にすると、コンテンツのうち読まれる割合が高まる。コンテンツが適切に構成・整形され、十分に簡潔に書かれていれば、ユーザーが実際に読む20%の部分が、重要なメッセージや取るべき行動を示す「本当に読んでほしい20%」になる可能性が高まる。

平易な文章は、特にディスレクシアやADHDなど、認知特性の異なるユーザーにも役立つか?

はい。平易な文章、適度なまとまりに分けたコンテンツ、内容を具体的に示す小見出し、箇条書きは、ディスレクシアやADHD、その他の認知特性を持つユーザーに役立つ。NN/Gによる識字能力の低いユーザー向けの文章に関する調査では、文章を単純でわかりやすくすることが、あらゆる読解レベルの人に役立つと一貫して示されている。

口調

ボイスとトーンの違いは何か?

ボイスは組織の人格であり、一貫しているべきものである。

トーンは、そのボイスを個々の状況にどう適応させ、読み手にどのような感情を抱かせるかを表す。

組織のボイスが明快で、落ち着きがあり、率直なものだとしても、トーンは文脈によって変わる。エラーメッセージではより共感的に、利用開始時の案内ではより励ますように、規約のページではより中立的にするといった具合である。

人も同じで、いつでもその人らしい話し方をするが、仕事の会議での話し方と休暇中の話し方は異なる。

チャネルや状況に応じてトーンを変えるべきか? また、その方針をスタイルガイドに記載すべきか?

はい。ボイスは一貫させ、トーンは状況に応じて変える。ブランドのボイスは変えるべきではないが、法的な注意書きには、利用開始時の歓迎画面とは異なるトーンが必要である。

ユーザーがそのときどのような気持ちでいるかを考えよう。たとえば、ストレスを感じている(規約のページ)、喜んでいる(完了確認)、特に感情が動いていない(参照用コンテンツ)、など。コンテンツ標準スタイルガイドには、変わらないボイスの特性と、状況やチャネルに応じてトーンを変えるための指針の両方を記載すべきである。

AIツールは口調を判定できるか? その判定で十分か?

AIツールはトーンをおおよそ推定できる。文章が親しみやすいか、改まっているかといった一般的な判定はできるが、そのトーンが特定の状況に置かれたユーザーにどう受け取られるかまでは予測できない。不適切な場面(たとえば、エラーメッセージ、請求関連、デリケートなやり取りなど)でトーンがずれていると、信頼を急速に損なう恐れがある。

適切なトーンは、具体的な対象読者と状況によって決まる。依然として、実際のユーザーを対象としたユーザビリティテストとインタビューが、それを知る最善の方法である。

専門用語・略語・技術用語

専門用語を使ってよいのはどのような場合か?

専門用語は、対象読者になじみがあり、実際に使われている場合に限って使用しよう。一部のユーザーにはわかりにくい可能性がある言葉を使う前に、ユーザー調査、アンケートデータ、サイト内検索のログなどから、対象読者がその専門用語を理解し、好むことを示す根拠を確認しよう。

専門用語を検証・調査していないのであれば、ユーザーが意味を知っていると思い込んではならない。あなたや社内チームにとって当然の言葉でも(単に常日頃から使っているというだけで)、ユーザーにも通じるとは限らない。

対象読者にさまざまな人が含まれる場合は、まず平易な言葉を示し、その後に専門用語を括弧内に記載する。ユーザーは文章を最初から最後まで漏れなく読むわけではないため、頻繁に現れる用語については、平易な表現もときどき繰り返そう。

略語の正式名称は、最初に出てきたときだけ記載すればよいか?

いいえ。デジタル環境の読者は上から下へ順番に読むのではなく、流し読みをする。ページの途中から読みはじめたり、セクション間を移動したりするため、最初に記載した定義を見落とすことがよくある。対象読者のほぼ全員が説明を必要としないほど広く認知されている略語でない限り、その略語が表す正式名称を記載しよう。広く認知されている例として、PDF、URL、FAQがある。

迷った場合は、省略せずに書こう。

ブランド化された用語も専門用語か?

はい。病院のリンクに「MyCovenantHealth」とだけ書かれていても、患者向け窓口、料金の支払い、予約のいずれに進むのか、ユーザーにはわからない。「患者記録・保険」であれば、目的がすぐに伝わる。ブランド化された名称は社内では意味を持つが、自明であることはほとんどない。「初めて利用する人がこのラベルをクリックしたとき、何が見つかるかを明確に伝えているか」と、常に問いかけよう。

構造・リンク・行動喚起

見出しと小見出しは、直接的な表現と気の利いた表現のどちらにすべきか?

直接的な表現にしよう。明確で内容がわかる見出しと小見出しは、曖昧な表現やかわいらしい表現より効果的である。「私たちのアプローチ」ではユーザーに何も伝わらない。「処理時間を40%短縮する方法」であれば続きを読むべきか判断できる。各小見出しは、その後に続く内容を要約するものにしよう。

リンクのラベルに「詳しく見る」を使うべきか?

いいえ。決して使ってはいけない。 「詳しく見る」は、安直なリンクやボタンのラベルである。何について詳しくわかるのか、クリック後にどこへ移動するのかが、ユーザーにまったく伝わらない。また、アクセシビリティ上も重大な欠陥がある。スクリーンリーダーは、ページ内にあるリンクを「詳しく見る、詳しく見る、詳しく見る」と読み上げるため、それぞれを区別できない。同じ問題は、「今すぐ購入」「もっと知る」「見る」「詳細を見る」「続きを読む」など、移動先ではなく操作だけを示す曖昧なラベルにも当てはまる。

ユーザーが得られるものを伝える、具体的なリンクテキストを使おう。たとえば「処理時間を短縮する方法を見る」であれば、具体的で行動につながる。

完了確認メッセージに「正常に」という言葉を含めるべきか?

いいえ。この言葉は通常は必要ない。「パスワードが正常に更新されました」は重複した表現である。操作が完了していなければ、完了を確認するメッセージは表示しないはずである。成功したことはデザインで伝えよう。緑色のチェックマークがあれば、「正常に」と書かなくても成功したことが伝わる。

ただし、ブランドのボイスが励ますような会話調であれば、この言葉によって温かみが加わる場合がある。余分な一語を加える価値があるかどうかをボイスのガイドラインに基づいて判断し、ユーザーを対象に検証しよう。

AI・SEO・ステークホルダー・文章のテスト

AIを使ってUX向けの文章を書いてもよいか?

はい。ただし、戦略的に使う必要がある。AIは、初稿の作成、見出しのバリエーション作成、代替テキストの生成、マイクロコピーのアイデア出し、書き始めるきっかけづくりに、たしかに役立つ。リスクは、AIに頼りすぎることから生じる。AIの出力はありきたりな一般論になりがちで、ブランドのボイスからずれることがある。また、ユーザー、ユーザー調査、個別の状況についての知識を持っていない。何を削るべきかを判断する、感情的な負担の大きい場面に合わせてトーンを調整する、特定の対象読者を混乱させるラベルを見抜くといった、優れたUXライティングをかたちづくる判断もできない。

AIは有能な初稿作成の協力者として扱おう。必ず対象読者を念頭に置いて編集し、AIの文章を見直さないまま公開してはいけない。戦略的な思考は人が担いつづけよう。

AIの時代にコンテンツの成功を評価するにはどのような指標を使うべきか?

この質問は、「AIツールが質問に直接回答するため、ウェブサイトへのアクセスが減っている。アクセス数が適切な指標ではなくなったのなら、代わりに何を見るべきか?」というかたちでもよく寄せられる。

従来は、ユーザーが文章を見つけ、理解し、読んだ内容に基づいて行動しているかという、コンテンツへの関与を評価するためにアクセス数が使われていた。しかし、AIツールが質問に直接答えるようになると、サイトへのアクセスは減少し、コンテンツの成功を評価する指標としての信頼性も低下する。

AIプレビューによってユーザーがリンクをクリックせずに終わる検索が増えるにつれて、測定の中心を、エンゲージメントとコンバージョンの指標、タスク完了率、再訪問に移そう。これらの指標から、実際にサイトを訪れた人が価値を得ているかがわかる。分析ツールでは、AIツールからの参照アクセスを、コンテンツがAI生成の回答にどの程度登場しているかを示す大まかな手がかりとして利用できる。ただし、実際にリンクをクリックするユーザーはごく一部であるため、この数値は現実より大幅に少なく表れることを覚えておこう。

AIの時代にもSEOは重要か? また、AEO、GEO、そのほかの略語とはどのような関係があるか?

はい。検索エンジン最適化(SEO)は今も重要である。回答エンジン最適化(AEO)は、AIアシスタントや音声検索ツールがコンテンツから直接回答を取り出せるように、文章を構造化する取り組みである。

生成エンジン最適化(GEO)とは、コンテンツを、その分野について信頼できる確かな情報源として、生成AIツールが引用できるように構造化する取り組みである。

根底にある原則は、人にとって使いやすいコンテンツを生み出す原則とまったく同じである。明確な構造、平易な文章、内容を具体的に示す見出し、冒頭近くに置かれた直接的な回答、そして主題に関する確かな専門性である。

ウェブサイトは、検索エンジン結果ページからクリックして訪れる目的地から、AIツールが引用する情報源へと変化している。逆ピラミッド型の構成は、これまで以上に重要になっている。まず答えを示し、その後に根拠や詳細を続けよう。かつては検索順位を操作するために使われた、キーワードを不自然に詰め込んだコンテンツは、AIが介在する世界ではさらに成果を上げにくくなる。私たちが以前から述べてきたとおり、第一に人のために書き、第二に機械が処理しやすいように構造化しよう。

ステークホルダーがユーザーよりSEOを優先するとき、どう異議を唱えればよいか?

アクセス解析とヒートマップでわかるのは、ユーザーが何をクリックしたかであり、なぜ困ったのかではない。優れたUXライティングと優れたSEOは、互いに相反するものではない。内容を具体的に示す見出し、明確なリンクテキスト、平易な文章は、どちらにも役立つ。検索向けに最適化してユーザーをページへ呼び込み、ユーザー向けに最適化してページにとどまってもらう。

ヒートマップやアクセス解析の報告をもとにいくら推測やもっともらしい議論を重ねても正確には説明できないコンテンツ上の問題も、定性調査を行えば明らかにできる。

文章が重要であることをステークホルダーに納得してもらうには、どうすればよいか?

説明するのではなく、見せよう。アイトラッキングの動画講座でも共有している)、ユーザビリティテストの映像、文章改善前後の読みやすさのスコアは、制作過程を根拠に説明するよりも説得力がある。すべてを事業上の成果と結びつけて説明しよう。タスク完了率、タスク完了までの時間、満足度のすべてが、文章を改善すれば改善する。

アイトラッキングに代わる、費用を抑えた方法はあるか?

ユーザビリティテストファーストクリックテストクローズテスト(空欄を埋める読解力のテスト)、コンテンツの選好テストを行えば、高価な機器を使わなくてもコンテンツ上の問題を明らかにできる。

HotjarやLucky Orangeのような従来型のヒートマップツール(人の実際の目に合わせて調整された専用の機器やソフトウェアではなく、スクロールの動き、滞在時間、カーソルの位置を用いる)は、改善の方向性を考える上で有用なデータを得られる。ただし、得られるデータは非常に大まかな推定にすぎず、ユーザーが実際にどの文章に注意を向けたかまではわからないことに留意しよう。

Tobiiなどが提供する専用の機器とソフトウェアを用いたアイトラッキング調査を実施する予算がない場合は、実務者が改善の方向性を判断するときによく利用する、アイトラッキング結果の低コストな代替手段として、これらの方法を利用しよう。

結論

UXライティングに関する疑問や課題は、多くの場合、組織上の制約から生じる。たとえば、法的要件、ステークホルダーの好み、人が文章をどう読むかについての思い込みなどである。UXライティングの習熟度にかかわらず、提案をデータで裏づけ、実際のユーザーを対象に検証し、人が実際にどのように読むかに焦点を当てれば、よりよい判断と、よりよい体験の創出につながる。

これらの領域についてさらに自信をつけたい場合は、NN/Gの「Writing Compelling Digital Copy」講座で、すぐに活用できる調査、パターン、実践的な執筆・編集技法をより深く学べる。これらは、コンテンツ戦略の実務でAIを使用している場合や、AIの導入を検討している場合に特に役立つ。

今後のオンラインライブ研修で皆さんにお会いし、質問にお答えできることを楽しみにしている。

記事で述べられている意見・見解は執筆者等のものであり、株式会社イードの公式な立場・方針を示すものではありません。