Interface In Design YouTubeチャンネル 第4回

アメリカの高齢者向け住宅事情

今回紹介するのは、アメリカの55歳以上の住宅事情についてです。とある実際のシニアコミュニティにお邪魔して、どんなところなのか見学させてもらいました。

シニアコミュニティ内の道路を走るゴルフカート

日本では2020年には世帯主が55歳以上の割合が約54%、既に10年以上前には日本の全世帯の半分以上の世帯主が55歳以上となっています。

アメリカでも、日本ほどではありませんが、多くの先進国の例に漏れず社会の高齢化が進んでいます。National Association of Home Buildersによると、今年2019年にはアメリカの全世帯の45%が世帯主の年齢が55歳以上となり、増加の傾向にあることは間違いありません。また、これらの世帯はBaby Boomersと言われる世代とほぼ同じです(2019年現在55歳から75歳)。

アメリカの高齢者向けの住宅の種類

アメリカの高齢者向けの住宅で、一人で住むことが出来ない人向けの住宅(Nursing Home:フルタイムで看護師や医師が付く)を除外すると、3つほどのカテゴリーがあります。

55+ Communities;55歳以上のコミュニティ

カップルのどちらかが、もしくは独居世帯であれば本人が、55歳以上であれば住むことが出来るコミュニティ(コミュニティによって、詳しい規則があることがあります)。古いイメージの高齢者向けコミュニティとは一線を画し、居住者は一般的な住宅同様自立して住みます。通常、コミュニティの住宅は一戸建てです。また、一般的なコミュニティよりも施設やイベント・クラブ等が充実しているのが特徴で、コミュニティに付属する良い施設を、お得な価格もしくは無料で使えるようになっているところが多いようです。

Assisted Living;介護者付き住宅

すべての事を一人ですることはできないけれど、フルサポートはまだ要らない人が住む住宅です。入居者は独立して住みますが、緊急時に素早く必要なサービスを受けることが出来、多くの場合、24時間看護師などがスタンバイしています。また施設は、食事の準備やソーシャルな活動などを提供してくれます。

Continuing Care Retirement Communities;継続的なケアが受けられる退職者コミュニティ

上記1)と2)の中間で、居住者は自分の健康状態に合わせて住居スタイルを選ぶことが出来ます。1)のように一戸建て住宅に独立して住み、介護サポートは常駐しない、もしくは2)のようにアパートやコンドミニアム(日本で言うところのマンション)のような形態に住み、介護サポートが常駐するという選択肢があり、1)から2)への移行もスムーズに出来るのが特徴です。

お金のある世代をターゲットに、アクセシブルな住宅を提供

55歳以上の住宅は多くは、眺めのいい、高級住宅地に属するエリアに作られています。既にリタイアしている人が多いとはいえ、現実的には若い世代よりも所得や財産が多く、住宅に対して多くのお金を払えるのはベビーブーマー世代の特徴でもあり、住宅ディベロッパーからすると現在の絶好のターゲットであることは間違いありません。

また、ユニバーサルデザイン(UD)を住宅の至る所に採用している事が特徴の一つで、デザイン面では一般住宅と何ら変わりのない高質なものを提供しています。日本と違い、弊社のあるLAのエリアでは、高齢者向け住宅に限らず、一般的に新築の住宅はあまり多くありません。大多数の住宅は1960-70年代に建てられたものをリノベーションして住むのが一般的で、加えて平屋建てが多いので住宅の成り立ちとしてそもそもUDを導入しやすい状況ですが、車いすでのアクセスがしやすいように、入り口をスロープに変更したり、シャワーやバスタブが使いやすくなっていたり、椅子に座ってガーデニングがしやすいように花壇の土の高さが高くなっているなどの配慮がされている家が多くあります。

参考:

55+のコミュニティは、家族と極端に離れる事はなく、かつ落ち着いてコミュニティ内の交流も楽しむ、豊かな暮らしをエンジョイ出来る理想の形と言えるのではないでしょうか。

シニアコミュニティの実例

実際に、LAにある55+のシニアコミュニティに実際にお邪魔して、どんな所なのか見せてもらいましたので、皆さんにご紹介したいと思います。

では、実際の動画をご覧ください。(約6分38秒)

ロサンゼルスの南にある、あるシニアコミュニティにお邪魔しました。

Palos Verdes Shoresの看板と、“Welcome”という電光掲示

住民がいつでも使えるプール、ジャグージー、ゴルフコースなど、施設はとても充実しています。

住民がいつでも使えるプール

住民がいつでも使えるゴルフコース

コミュニティ内はこのような感じ。

シニアコミュニティ内の道路を走るゴルフカート

移動は車かゴルフカートです。

コミュニティ内移動用のゴルフカート

商品開発のための現地実態調査

イードの米国子会社・Interface in Design, Inc.は、どのような製品に関してもフレキシブルなスタイルで、アメリカをはじめとした世界各国で調査を実施することが可能です。例えば、現地情報を出張せずに現地の状況を把握することも出来ます。

皆様の会社の商品企画や開発、デザイン部の方々が、現地向けの商品を開発する際の一助(マーケットの状況や、製品の使用状況などを通した仮説の抽出など)としていただけるはずです。

ご希望に応じてプレインタビューを加えたり、観察調査を加えるなどのオプショナルサービスも提供可能ですので、下記よりお問合せ下さい。

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森原悦子
著者(森原悦子)について
Interface in Design, Inc. COO/President。
武蔵野美術大学卒。インダストリアルデザイナーなどとして活躍後、旧イードに入社。定性調査やエスノグラフィーといった手法を得意とし、クライアントのグローバルな商品開発のコンサルティングリサーチを多く手がける。2011年8月より現職。

公開: 2019年6月13日
著者: 森原悦子