コロナ禍で変わる生活~各種調査まとめ~

2020年4月以降に株式会社イードが実施した自主調査の結果を振り返り、「テレワーク」「住まい」「おうち志向」「健康志向」など、コロナ禍において起きた変化について考察します。

  • リサーチ事業部 三浦志保
  • 2021年1月8日

コロナ禍を経験して人々の生活や意識がどう変わったのか、今後どう変わっていくのかを調べるため、2020年4月以降、株式会社イードはいくつかの自主調査を実施しました。ここではそれらの結果を総合し、コロナ禍における変化について考えてみたいと思います。

テレワークの普及

コロナ禍による大きな変化の1つとして、「テレワークの普及」が挙げられるのではないでしょうか。イードが実施した調査では、4月時点では有職者(パート・アルバイトを含む)の32.0%11月時点では26.0%がテレワークをしているという結果が出ました(※出勤とテレワークを組み合わせた働き方を含む)。

テレワークの恩恵としては、「通勤しなくて良いこと」が第一に挙げられます。通勤が精神的・肉体的に負担のかかることであり、無駄な時間であったと改めて感じる人が多いようです。テレワーカーにテレワークのメリットを聞いたところ、「通勤時のストレスがない」が最も多く挙がり、次に「通勤時間を他のことに充てられる」が挙がりました。なお、その他の恩恵としては、「週に5日出勤する必要がなくなり、居住地選択の幅が広がった」「子育てや介護と両立しやすくなった」などが挙げられます

テレワークのメリット

一方、テレワークの課題として「自己管理の難しさ」「コミュニケーションの難しさ」が挙げられます。

「自己管理の難しさ」については、4月実施調査でも11月実施調査でも、「テレワークで困ること・不便なこと」として「気持ちの切り替えがしづらく、集中できない」「仕事以外のことをしてしまい、仕事に集中できない」が上位に挙がっており、その割合にもあまり変化がないことから、「慣れ」だけでは解決しない、テレワークにおける根源的な問題であることが分かります。

テレワークで困ること・不便なこと

「コミュニケーションの難しさ」については、「“コミュニケーションをとりながら進める非定型的な仕事”はテレワークに向いていない」「オンラインでのコミュニケーションだけでは不十分なこともある」「雑談など今まで何気なく行っていた情報交換の機会がなくなった」などの問題があり、たまには対面でコミュニケーションをとる機会を設けたり、情報交換の場を意識的に設けたりするなどの工夫が必要と考えられます。

また、事業者側に求められる課題としては、「評価制度の見直し」と「柔軟な働き方の許容」が挙げられます。「評価制度」については、テレワークをする上で「正当に評価されるのか」「サボっていると思われていないか」など不安に感じる従業員も少なくなく、評価項目の根本的な見直しを含め、テレワークという働き方にも対応した評価制度の整備が求められています。「柔軟な働き方の許容」については、事業者側が一律にテレワークか出勤かを決めるのではなく、働く個人個人が仕事の状況や家庭の事情、本人の適性などに合わせて臨機応変にテレワーク/出勤を選べることが望まれています

なお、テレワーク普及のインパクトは、テレワークをする人だけでなく、テレワークをしない人にも及んでいると考えて良さそうです。有職者の半数近くは「業務上、テレワークができない」という理由でテレワークをしていませんが、例えば、テレワークをしていない人でも2割強が「テレワークが可能な会社で働きたい(働き続けたい)」と考えるようになったという結果が出ましたが、その他にも(外部との会議で)Web会議を行うようになったり、また自分はしていなくても家族がテレワークをするようになって生活が変わったりと、何らかの変化があった人も多いのではないでしょうか。

住まいに関する価値観の変化

外出自粛やテレワークの影響によって、おうち時間が増えた人は多いのではないでしょうか。そしておうち時間が増えたことにより、「長時間過ごすなら、もっと快適に過ごしたい」と考える人が増え、より広く、快適な家に住みたい」というニーズが高まっています。「テレワークをするスペースを確保したい」という事情を持つ人がいたり、コロナ禍を経験し、「仕事量を多少減らしてでも、プライベートの時間を確保したい」と思うようになり、プライベートな時間の重視度が上がったりしたことも、このニーズを後押ししていると考えられます。

仕事量を多少減らしてでも、プライベートの時間を確保したいと思うようになった

さらに、テレワークの実施により、週に5日職場に通う必要がなくなった人の中には、「職場からもう少し離れた場所に住んでも良い」と考える人も少なくなく家選びにおける「職場(≒都市部)へのアクセスの良さ」の重視度は下がっていると言えます(編注:実際、東京は、2020年7月から11月まで5カ月連続で、転入者よりも転出者のほうが多くなっています)。

つまり、家選びにおいて「交通の便」の重視度が下がる一方、「居住空間の快適性」の重視度が上がっており、結果として、郊外や地方への移住を検討する人もいるということです。

ただし、一部で囁かれているような地方移住の流れが進むのかというと、少し留意する点があります。まず、前述のようにテレワークをしている人でも全く出勤しなくて良い人は少数であり、実際にはテレワークと出勤を組み合わせた働き方をする人が多く、職場へのアクセスもある程度は重視されるであろう点です。また、生活圏が狭まったことで「自分が住む街(徒歩圏内の近所)」との関わりが増え、街自体の利便性を再評価する人が一定数いる点です。これらを総合して考えると、地方への移住が進むより、少し都市部から離れてもある程度のアクセスを確保でき、かつ街としての利便性もある郊外への移住が進む方が可能性が高そうです。

「おうち志向」は当面続く

コロナ禍によって買い物や旅行・レジャー、飲み会などに気軽に行けなくなった分、様々に工夫して「おうち時間」を充実させる人も多くいます。具体的にはテイクアウトやデリバリーで美味しいものを食べたり、NetflixやAmazonプライム・ビデオなどの動画配信サービスを満喫したり、「あつまれ どうぶつの森」などのゲームを楽しんだり、筋トレなど自宅でできる運動を始めたり。料理や掃除など、今まで時間に追われて疎かになっていた家事に注力する人もいます。また、買い物や各種手続きなどをオンラインで行う機会が増えた人も多く、オンラインでできることはオンラインで済ませたいと思うようになった」という人も多いことが調査で分かりました。

外出が減ったままだと思う理由

このように、おうち時間を充実させる中で、外出しなくてもやっていける/楽しめることに気づく人も多く、外出したいという気持ちが減った人は一定数いるようで、「休日のお出かけ」の頻度について聞いた質問では、3割が「減ったし、今後も減ったままだと思う」と答えるなど、おうち志向は一時的なものではなく、コロナが終息した後も持続する傾向であると考えられます。

健康志向の高まり

コロナ禍において、外出頻度が減ったりジムに行けなくなったりしたことで運動不足になった人は多いのではないでしょうか。テレワークの体調面・生活面でのデメリットとしても、最も多く挙がったのは「運動不足になる」ということでした。さらに、家にいる時間が長くなり、食事量や間食が増えることで体重が増えた人もいると考えられます。このような状況への対処として、「密」を避けながらできる運動を新たに始めた人も多くいます。具体的には、近所でのランニングやウォーキング、家での筋トレやストレッチ、ヨガなどです。

また、これまで以上に免疫力や健康管理に関心を寄せ、「食事の栄養バランスに気をつける」「睡眠をしっかりとる」「生活リズムを整える」など、ウイルスに対する自己防衛を心がける人もいます

身体面だけでなく、メンタルヘルスに気を遣うようになった人もいます。暗いニュースが続き、人との交流も減りがちな中、「意識的にストレス発散をしている」「ポジティブでいるよう心がける」「暗いニュースを見すぎないようにしている」「定期的に友人や家族とコミュニケーションをとるようにしている」など、“心の健康”を維持するためのセルフケアを実践している人もいました

つまり、「運動」「免疫力」「メンタルヘルス」など、様々な面で健康志向が高まっていると考えられます。

まとめ

今回は以下のことを見てきました。

テレワーク

  • 「通勤しなくて良いこと」がメリット
  • 「自己管理の難しさ」や「コミュニケーションの難しさ」が課題として挙げられる
  • 事業者側には、「評価制度の見直し」と「柔軟な働き方の許容」が求められている

住まいに関する価値観の変化

  • おうち時間が増えたことで「より広く、快適な家に住みたい」というニーズが高まっている
  • テレワークの普及により通勤回数が減り、家選びにおける「職場(≒都市部)へのアクセスの良さ」の重視度は下がっている
  • 郊外への移住が進む可能性が高い

おうち志向

  • おうち時間を充実させる中で、「オンラインでできることはオンラインで済ませたいと思うようになった」、また「外出しなくてもやっていける/楽しむことができる」と気づいた人は多く、外出を減らした生活はコロナ終息後も継続されると考えられる

健康志向の高まり

  • ランニングやウォーキング、筋トレやストレッチなど「密」を避けながらできる運動を新たに始めた人もいる
  • ウイルスに対する自己防衛を心がける人もいる
  • “心の健康”を維持するためのセルフケアを実践する人もいる