トップページデザイン:5つの基本原則

効果的なトップページとは、シンプルでアクセスしやすく、組織やサイトの目的を伝え、魅力的なコンテンツを表示し、ユーザーの行動を促すものである。

トップページ(homepage)は、どのウェブサイトにおいても最も重要なページの1つである。それはしばしば、ユーザーを魅了し、サイトに関与させるための最初の、そして場合によっては唯一の機会となるからだ。適切にデザインされたトップページは、ユーザーを明確かつ的確に彼らの目的に導くと同時に、ブランドのアイデンティティやサイトの提供するサービスを効果的に反映するものである必要がある。

この記事では、トップページのデザインに関する5つの基本的な原則を、それぞれ実践的なガイドラインとともに概説し、効果的なトップページを作るための明確な指針を提供する。

基本原則1:トップページにアクセスしやすくする

トップページは多くの場合、ウェブサイトの「玄関口」と見なされ、訪問者にとっての主要な入り口や重要な拠り所となる。ユーザーは常にトップページからウェブサイトにアクセスするとは限らないが、サイト内で迷った際には安心感を得るためにトップページに戻ることも多い。そのため、トップページにアクセスしやすくしておくことが非常に重要である。

1.1  すべてのページでトップページへの暗示的・明示的リンクの両方を用意するようにする。

ユーザーは、検索エンジンでサイトの内部ページにたどり着いた場合でも、トップページで自分の位置を確認する傾向がある。ウェブサイトではトップページへの直接リンクが必要不可欠だ。なぜなら、それによって安全な代替手段を提供できるからである。暗示的リンク(ロゴ経由)と明示的リンク(「Home」と書かれたリンク経由)の両方を用意し、トップページに容易にアクセスできるようにしておこう。

❌ HelloFreshのプラン選択ページには、トップページへのリンクがない。このデザインはユーザーを購入フローに集中させるために意図的に行われたものである。しかし、このアプローチにより、顧客は閉じ込められたような気持ちになっていた。

1.2  サイトのURLはシンプルで予測しやすいものにする。

URLは、会社名から容易に推測できるものでなければならない。「(会社名).com」のような予測可能なURLにすれば、ユーザーは検索エンジンに頼ることなく、サイトのアドレスを推測できるようになる。(ブラウザのサジェストが間違ってしまう恐れも低くなる)。

コカ・コーラの「Coke」のように、製品や会社が別称で呼ばれることが多い場合は、こうした一般的なニックネームのURLも取得しよう。たとえば、「www.coke.com」にアクセスしようとすると、メインのURLである「www.coca-cola.com」にリダイレクトされるようにしておく。

1.3  トップページを他のページと視覚的に区別し、道しるべとして目立たせる。

トップページは、ユーザーが初めてこのサイトを訪れたときも他のページから戻ってきたときも自分のスタート地点だと認識しやすいように、他のページとははっきりと区別しよう。トップページのデザインは、サイト全体のスタイルに沿いつつも、他のページとは明確に一線を画す必要がある。特徴的なビジュアルとナビゲーション用の標識を組み合わせることで、ユーザーはトップページを再認し、思い出すことができる。

❌ Icahn Enterprises L.P.のトップページ(左)は、ニュースリリースのページ(右)と同じバナーを使い、非常に似た見た目のため、ユーザーは実際のトップページを見つけるのに苦労していた。

基本原則2:自分たちが何者で、何をしているのかを伝える

第一印象は重要だ。トップページを見込み客へのエレベーターピッチ(訳注:エレベーターに乗っているほどの短い時間で行うプレゼンテーション)ととらえ、自分たちの組織が何をしているのか、ユーザーがこのサイトで何を達成できるのかをすばやく明確に伝えよう。ユーザーに推測をさせてはならない。調査によると、一目でサイトの目的が伝わらないと、見込み客はそのサイトを放棄してしまうことがわかっている。

2.1 ページの左上に会社名とロゴを目立つように表示する。

会社のロゴはトップページの左上に配置するのが標準になっている。そこが、ユーザーが最初にロゴを探す場所だからだ。ロゴを中央に配置することは避け、ロゴははっきりと見えるようにして、トップページの他の要素と区別できるようにしよう。

❌ Chevronのロゴは、標準の位置ではない中央に置かれている上にサイズが小さいために目立たなかった。さらに、ロゴの中のブランド名も非常に小さい。また、ロゴの色も背景の画像に溶け込んでしまっている。

2.2 サイトや会社の内容を明示的に伝えるタグラインを入れる。

訪問者が自分たちのブランドを知っていると思い込まないことだ。社名から何をやっているのかが自然にわかる場合を除き、トップページに簡潔なタグライン(:ブランドのメッセージ)を入れ、自分たちが何者で、何をしているのかを伝えよう。

✅ TurboTaxのトップページは、簡潔なタグラインを通じてサイトのサービスを効果的に伝え、同社の確定申告サービスの正確さと柔軟性を強調している。

ユーザーはオンラインでは一語一語読むことをほとんどせず、代わりに流し読みをする傾向にある。そのため、タグラインはシンプルで、流し読みしやすく、ポイントを押さえたものでなければならない。コンテンツの書式は十分配慮したものにし、テキストの壁でトップページがごちゃごちゃになって、ユーザーが読むのをためらわないようにしよう。

❌ Old Republicのトップページには、ウェブ向けの書式になっていないテキストのブロックがぎっしりと並んでおり、ユーザーの読む気力を削ぐ。

さらに、トップページの朗らかな「歓迎の言葉」は、この会社に関する情報を何も提供せず、無益だ。代わりに、この挨拶は意味のあるタグラインに変えるべきだろう。ユーザーを歓迎する最良の方法は、サイトで提供するサービスをわかりやすく説明し、ナビゲーション用の明確な出発点を提供することである。

❌ Qurateはトップページのメインビジュアルエリアに汎用的な歓迎メッセージを掲載し、結果的に会社概要をファーストビューより下に押しやった。

2.3 サイトがユーザーにもたらす独自の価値だけでなく、競合他社との差別化ポイントも強調する。

トップページでは、説明的なタグラインやメインビジュアルエリアの魅力的なコンテンツを通じて、独自のバリュープロポジションを明確に伝えるべきだ。そのためには、ターゲットオーディエンスのニーズや課題、目的をよく理解し、自社のサービスがこれらの点にどのように対処しているかを競合他社と比較して示す必要がある。

明確に定義されたバリュープロポジションとは、「なぜ他社ではなくこのサイト/会社を選ぶべきなのか」という質問への回答になっていなければならない。そのためには、トップページの画像からテキストに至るまで、あらゆる要素がうまく連携し、最初のインタラクションから説得力のあるメッセージを伝える必要がある。

✅ Berkleyは、トップページに「What Sets Us Apart」(他社との違い)と題したセクションを設け、競争上の優位性を示して、ユーザーが自社を競合他社と区別できるようにしている。

トップページはユーザーの話す言葉で書かれるべきである。ユーザーが理解しやすい言葉を用いて、専門用語やビジネス用語、機能指向の言葉は避けるようにしよう。

❌ Citizens Bankのトップページでは、Citizen Checkup(個別対応の金融相談サービス)という商標登録済みのサービスが宣伝されている。しかし、残念なことに、その下に表示されている宣伝文句にはこのサービスについての明確な説明はない。

2.4 掲載する画像にはブランドを正確に反映させる。

トップページの画像は、ユーザーを惹きつけ、ブランドのアイデンティティを表現するために慎重に利用するべきである。ブランドに対する知見を提供する、有益で関連性のあるビジュアルを選ぼう。

単なる装飾的な画像や役に立たない画像は使わないようにしよう。そうした画像はユーザーにスキップされる傾向があるからだ。トップページはウェブサイトで最も価値のある場所だ。したがって、そこに置く画像はすべて、目的があり、付加価値をもたらすものでなければならない。

❌ 石油・ガスの探査・生産会社であるPar Pacificは、メインビジュアルエリアに水の汎用的なストック画像を置いている。その結果、訪問者が同社のサービスを誤解する恐れがある。
✅ BPのトップページは、メインビジュアルエリアに同社の施設の画像を表示し、同社の中心的な事業がわかるような情報提供を行っている。

基本原則3:例を通してコンテンツを明らかにする

トップページを実店舗の入り口と考えるとよい。顧客が実際の店舗で商品見本を頼りに必要な商品を見つけるように、トップページにもサイトで提供するサービスの見本を表示する必要がある。これにより、ユーザーにさらなる探索を促すことができるし、彼らが探しているものがサイトにあるかどうかもすばやく判断できる。

3.1 最も重要なコンテンツはファーストビュー内に配置し、さらにコンテンツがある場合はユーザーをページの下部に誘導する。

画面サイズが多様化し、レスポンシブデザインが普及しているにもかかわらず、トップページにとって、ファーストビューという概念は依然として重要である。ファーストビュー(スクロールせずに見えるページ領域)は非常に重要なものだからだ。なぜならユーザーはファーストビュー内のコンテンツが興味を引いた場合にのみ、さらにスクロールする傾向があるためである。つまり、ファーストビュー内のコンテンツは、ユーザーがサイトにさらに関わるかどうかを決定する重要な役割を果たす、ということだ。

ファーストビューに関するデザインには以下の2つのポイントがある:

  • 最も重要なコンテンツはできるだけページの上のほうに配置して、ユーザーのデバイスサイズに関係なくファーストビュー内に表示されるようにする。
  • ページのスクロールダウンを誘導するようなレイアウトにする。

ユーザーは依然として、ページの上部でウェブページの閲覧時間の大半を過ごしている。レイアウトをデザインする前に、各コンテンツの重要度を慎重に評価し、この優先順位を反映させるレイアウトを構築しよう。

❌ Bath & Body Worksは、バナー広告と動画ウィジェットの一部をトップページのファーストビュー内に配置している。暗いオーバーレイは、そのエリアがファーストビューより下であることを示す。しかし、残念ながら、ファーストビュー内のコンテンツには製品やブランドについての情報がほとんどなく、さらなる探索を促すことはできなかった。

特に画像ベースのデザインがますます人気を集めているため、トップページをデザインする際には、見せかけの底(false floor)に注意する必要がある。コンテンツとレイアウトがまだ下にも続いているとわかるようにして、訪問者にファーストビューの外までスクロールしてもらおう。

❌ United States Steelはトップページに全幅の画像を採用している。しかし、ファーストビューの外にもコンテンツがあることを明確に示さないと、この画像がトップページの唯一のコンテンツだと訪問者が誤って思い込む恐れがある。

3.2 コンテンツの具体例を提供する。

トップページは、サイトの概要だけでなく、提供するコンテンツの具体的な例を提供すべきである。厳選されたコンテンツ見本は、広範で包括的な用語よりも企業の価値を伝えるのに効果的だ。トップページにサイトコンテンツのサンプルを表示することで、ユーザーはサイトのメンタルモデルを形成することができ、サイトをさらに探索しようとするだろう。たとえば、単に「注目の商品」と表示されたリンクからカテゴリーページに誘導するのと、厳選された注目の商品を実際に紹介するのとでは比べるべくもない、ということだ。

❌ Freeport-McMoRanのトップページは、各カテゴリーページへの画像リンクが付いた4つの包括的なカテゴリーを載せている。このページは、カテゴリーごとにコンテンツのサンプルを表示すると、さらに効果的になるだろう。

トップページでは、サイトの代表的コンテンツでない可能性のあるコンテンツを取り上げないように注意しよう。季節的なコンテンツや販促的なコンテンツを掲載すると、このサイトの内容はそういうものだというイメージがユーザーにできてしまい、コアとなるコンテンツが誤解される恐れもある。

❌ 石油会社のOvintiveは、トップページの全画面にカルーセルを表示し、四半期報告書やサステナビリティへの取り組みを紹介している。しかし、ここにはサイトを代表するようなコンテンツがなく、新規の訪問者がサイトの内容を把握するのは難しい。

基本原則4:アクションとページ移動を促す

トップページは多くの場合、ユーザーの探索の始まりとなるところで、他のページへのリンクが張られた中心的なハブとして機能する。そのため、トップページでは利用可能なアクションを明確に伝えて、ユーザーを次のステップへと導く必要がある。

4.1 ユーザーが理解しやすい、明確で説明的なリンクラベルを付ける。

価値を伝える明確なリンクラベルは、あらゆるタイプのウェブページで重要だが、トップページでは特に重要といえる。リンクラベルとcall-to-actionは具体的かつ情報の匂いが強くなければならない。

「ここをクリック」「探索」「さらに詳しく」といった一般的な表現では、リンクをクリックすると何を得られるのかがユーザーに伝わらず、ページを流し読みしている際にもこれらのリンクを他のリンクと区別しにくい。

❌ ONEOKは、「Investors, Learn More」(投資家の皆様へ、さらに詳しく)という見出しの下に「Click Here」(ここをクリック)というラベルのボタンを置いている。しかし、このラベルでは、ボタンをクリックしたときに何を期待できるのかが伝わらない。

ターゲットオーディエンスの目標に沿った形でアクションを記述しよう。彼らはトップページで何を達成したいと思っているのだろうか。ユーザー調査やペルソナを参考に、彼らのニーズに合わせてリンクやボタンのラベルを調整しよう。

✅ Robert Half(:人材紹介会社)のトップページは、「For Job Seekers」(求職者の方へ)や「For Businesses」(企業様へ)といった明確な見出しの下に主要なcall-to-actionを整理して置くことで、さまざまな利用者に効果的に対応している。

4.2 視覚的な階層を明確にして、優先順位の高いタスクを強調する。

重要なタスクを視覚的に目立たせることで、ユーザーに明確な出発点を提供しよう。これはつまり、ユーザーや彼らのニーズを理解することにほかならない。まずは最重要なタスクをリストアップすることから始めるとよい。そして、階層視覚的な重みを利用して、優先するタスクに注意を喚起しよう。最も重要なタスクは視覚的に目立つようにする必要がある。トップページの要素が視覚的に競合しないようにしなければならない。すべてを強調すると、何も目立たなくなってしまうからである。

❌ CSXのトップページは、視覚的な階層が不十分なため、うまく機能しない状態になっている。このページはコンテンツが豊富で密集しているので、優先順位の高いタスクを見分けるのが難しい。

4.3 主要なナビゲーションは目立つ場所に配置する。

トップページはウェブサイトで最も重要なルーティングページであり、サイト内の移動を促す役割を担う。したがって、トップページのナビゲーションUIは、容易に利用することができ、直感的であるべきだ。ナビゲーションは、自然と見つかるものである必要があるし、さっと見るだけで、サイトがどのようなサービスを提供し、それらがサイト内のどこに位置しているのかをすぐに把握できるようになっていなければならない。

❌ Booking Holdingsでは、グローバルナビゲーションが左上にある「MENU」リンクの背後に隠されていて、サブブランドが下部にある色のついた細いバーの下に格納されている。また、残念ながら、「MENU」リンクも色のついたバーも可視性に欠け、結果的に見つけにくくなっている。

基本原則5:トップページをシンプルに保つ

トップページにはさまざまなコンテンツやリンクがあるが、複雑にしすぎてユーザーに負担をかけてはならない。アニメーションコンテンツは最小限にとどめ、ユーザーの注意を逸らさないようにしよう。乱雑で無秩序なデザインは、トップページのユーザビリティを損ない、ブランドの信頼性を低下させる。

5.1 シンプルで標準的なトップページデザインを選択する。

WebAIM Million Reportによると、複雑なトップページデザインが流行しているということだ。そんなわけで、トップページで独創的なレイアウトを試してみたくなることもあるだろう。しかし、ユーザーはほとんどの時間を他社のサイトで過ごしているのだから、あなた方のサイトも彼らがすでに知っている他サイトと同じように動作するほうが好まれる。シンプルで予測可能なデザインは、ユーザーの期待に沿い、彼らのメンタルモデルを損なわないことで、ユーザーエクスペリエンスを向上させるだろう。

確立された基準に従うことで、一貫性が確保され、ユーザー、とりわけブランドを理解するためにトップページを頼りにする新規ユーザーの認知負荷が軽減される。忠実なオーディエンスのいる老舗ブランドには革新的なデザインもそれなりに意味があるが、一般的にはユーザーが使い慣れている従来のデザインを採用するほうが安全だ。そうすることで、ユーザーもウェブサイトの機能を学ぶのではなく、ブランド自体を理解することに集中できる。

❌ Jacobsのトップページは、ナビゲーションを右側に配置するとともにパララックス効果を用いたフローティングブロックを採用するなど、慣例的ではないレイアウトを採用している。さらに、カラフルなアニメーションのボックス内にコンテンツを表示しているが、これはユーザーに広告と誤解される恐れがある。

5.2 動きとアニメーションを最小限に抑える。

トップページの要素に注意を引くことだけを目的にアニメーションや動きを使わないようにしよう。動いている要素は広告だと思われがちだ。さらに、過度な動きやアニメーションは、アクセシビリティ上の問題も引き起こす。パララックス自動送りカルーセルスクロールジャックなどの効果は、見当識障害を引き起こし、前庭障害を誘発する恐れがある。

動画の自動再生もやめよう。トップページの訪問者は、通常、到着してすぐに大音量で動くコンテンツで迎えられることを期待していないし、ありがたくも思っていない。自動的に開始する動画は非常に邪魔で、他のページコンテンツを利用する妨げになりかねない。

自動再生やアニメーションコンテンツをユーザーがコントロールできるようにすることが重要だ。WCAG 2.1 ガイドラインによると、5秒を超える移動、点滅、スクロールのあるコンテンツの自動再生ビデオは、一時停止または停止ができるオプションを提供する必要がある。

❌ Paramountのトップページは、自動的に動画を再生し、大きな太字のタイポグラフィと激しいアニメーションを採用している。動画を一時停止したり、停止したりするオプションも提供されていないので、視聴者に不快感や乗り物酔いのような症状を引き起こす恐れもある。

トップページは、インタラクションやコンテンツ消費に対するユーザーの嗜好を尊重すべきである。インタラクションによって起動するモーションアニメーションがある場合は、その効果を弱めたり無効にしたりするための手軽でわかりやすい方法を提供しよう。

✅ Crownはトップページにスクロールジャック効果を取り入れているが、その一方で、ユーザーがこの動きを無効にするためのオプションも目立つかたち(:左下の「Reduce Motion」(動きを減らす))で提供している。

5.3 コンテンツへの即時アクセスを提供する。

ウェブが始まった当初から、スピードはウェブサイトのユーザーエクスペリエンスにおいて極めて重要な要素であった。高速インターネットが普及した今日でも、レスポンスタイムは30年前と同様に重要である。Googleの調査によると、ページの読み込み時間が1秒から3秒に延びると、ユーザーがページから離脱する率が32%増加するという。

トップページは、探索のための豊富なコンテンツを提供することと、素早い読み込み時間とのバランスを取る必要がある。ページに到着し次第、ユーザーが即、コンテンツにアクセスできるようになっていなければならない。トップページでの反応の遅延は、混乱を招き、ユーザーの離脱を引き起こすからである。

❌ Steel Dynamicsのトップページは、読み込みに数秒かかる動画を掲載している。最初の6.4秒間、このエリアにはコンテンツが何も表示されないので、動画が完全に読み込まれる前にユーザーがページを放棄してしまう恐れがある。

先ほどのガイドラインで説明したように、ロゴやタグライン、主要な見出しのような重要なページ要素をアニメーション化することは避けよう。我々の調査によると、スクロールで起動するテキストアニメーションはユーザーを遅延させる。タグラインはトップページに即座に表示されるべきである。ユーザーが時間に追われる状況では、必要な情報を得る際のほんの少しの遅延も、サイトの機会損失につながる恐れがある。

❌ Danaherのトップページではタグラインがアニメーションで表示されるため、全文をまとめて読むにはスクロールダウンする必要がある。このデザインは不必要なインタラクションコストを追加するだけでなく、内容を把握する妨げにもなっている。

5.4 法的に義務付けられていない限り、ポップアップウィンドウやスプラッシュ画面を使わないようにする。

モーダルポップアップとスプラッシュ画面は、ウェブで最も嫌われるデザイン要素の上位に入る。これらは障壁として機能し、ユーザーの邪魔をして、サイトコンテンツへのアクセスを妨げるからだ。多くの場合、この2つは広告と結びつけられ、一般に即座に排除される。

ポップアップは、特にユーザーがウェブサイトから価値を得る前には、利用すべきでない。訪問者に価値を提供してから彼らに何かを要求するという相互主義の原則を守ろう。さらに悪いことに、ポップアップは重なり合うと複雑さとイライラを増加させる。

❌ Whirlpoolは、ユーザーを何層ものモーダルライトボックスで出迎え、キャンペーンを知らせたり、連絡先情報の入力を求めている。ユーザーがまだトップページのコンテンツを見ることもできていないことを考えると、このアプローチは非常に押しつけがましい上、ユーザーの目的とも無関係である。

ページコンテンツの読み込み前にポップアップやスプラッシュ画面を表示することが許容される唯一のケースは、Cookie利用の受け入れや年齢確認など、サイトがユーザーに同意を求める法的義務がある場合のみである。

✅ ビール会社のMolson Coorsは、トップページのコンテンツを表示する前に、スプラッシュ画面で年齢確認を行っている。このデザインは法的要件に適合しており、スプラッシュ画面の利用が許容されるケースといえる。

トップページの基本原則の持続性

2001年、ヤコブ・ニールセンは、著書「Homepage Usability: 50 Websites Deconstructed」の中で、トップページのユーザビリティに関する113のガイドラインを示した。これらのガイドラインのほとんどは今日でも有効であり、この記事で取り上げた5つの基本原則の応用である。

こうした持続性は偶然ではない。数十年にわたる調査から、ユーザビリティの原則とガイドラインは長期間、変わらず有効であることが一貫して示されている。なぜなら、それらは人間の基本的な行動に根ざしているからだ。人間の行動は、たとえ変化したとしても、非常にゆっくりとしか変わらないためである。

ウェブが進化しつづける中、我々はこれらの基本原則(アクセスの容易さの確保、価値と目的の伝達、コンテンツの開示によってユーザーを惹きつけること、アクションとページ移動の促進、シンプルさの優先)が、引きつづき妥当性を維持し、トップページデザインの未来の指針でありつづけることを期待している。