「存在すること」に意味のある人工物 黒須教授のユーザ工学講義 2023年8月8日 読了までに約8分 物体としての価値がある人工物は、物体としての価値が損なわれると断捨離せざるを得ないが、情報に価値のある人工物は、媒体(物体)から情報を抜き出して、媒体は断捨離してもかまわない、と考える。
効率と選択肢 黒須教授のユーザ工学講義 2020年2月25日 コミュニケーションが効率的になったというのは、ユーザビリティが向上した、ということになる。しかし、それで人々は十分に満足しているのだろうか。使って良かったなという気持ちになれる手段をユースフルであるとすれば、ユーザブルだけどユースフルではない状況のようにも思う。
人工物の進化とユーザの進化 黒須教授のユーザ工学講義 2019年1月15日 人間における、脳機能の部分、いいかえれば認知機能の変化や変質が、ゆっくりではあるが着実に進行している。この、現在起きている変化や変質に対して、それを認めること、そしてそれに取り組む新しい社会的パラダイムが必要になっているのだ。
改めて経験工学を 3. その展開 黒須教授のユーザ工学講義 2017年5月10日 既存の人工物が持つ多様な機能を分析するのではなく、その中の特定の機能や目標達成に着目し、その機能が実現しようとしていたコトに置き換え、そこから分析を出発させることが良い。特定の製品やサービスではなく、本質的なユーザ経験の改善を目指すこと、これが経験工学のアプローチである。
改めて経験工学を 2. 等価性にもとづく工学 黒須教授のユーザ工学講義 2017年4月18日 設計担当者が切り出した目標達成には提供可能性というバイアスがかかり、ユーザ当人もそうした制約条件を無意識的に自分に課している可能性がある。近未来の開発につなげるには、そういった制約条件を頭から排除して、ユーザの目標をじっくり分析し、それを実現しうる等価な人工物を考えることが必要なのだ。
改めて経験工学を 1. 従来の産業のあり方を見直す 黒須教授のユーザ工学講義 2017年4月5日 ユーザビリティからUXに関係者の視点が移り、経験という視座から身の回りのあらゆることを見渡そうとするスタンスがでてきたことは喜ばしい。人間の行動は単に機械的に目標を達成すればそれで完了ということではなく、人間がその行動を通して内面的にどのような経験をするかということが大切だからだ。
人工物の想定外利用 黒須教授のユーザ工学講義 2015年12月25日 想定外使用は、設計プロセスで予測できるものかというと、多分けっこう難しいものだと思う。となると、そうした利用法を発見するためにはUX調査、つまりユーザが実際の生活のなかでその人工物を利用し始めてから行う調査が必要だろう。
心理学とUCD(前編) 黒須教授のユーザ工学講義 2015年10月30日 日本心理学会の全国大会には「公募シンポジウム」という枠があり、勉強するにはとても良い機会だ。今年度、僕が指定討論者として参加した「衣食美心理学の可能性」の内容を紹介したい。僕自身は人工物進化学の観点から心理学に対して問題提起をした。
いつもの生活を振り返る 黒須教授のユーザ工学講義 2015年8月17日 忘れられた日常の事柄の中には、意識されなくなった諦めの気持ちも含まれる。日常生活の中で意識されなくなっていた願望に気づき、それを顕在化させた人々の執念が作り出したものが、人間の日常生活を取り囲んでいる人工物であるということができる。
失われる職域 黒須教授のユーザ工学講義 2015年5月25日 コンピュータの進歩によって仕事を奪われて「暇になってしまう」人々がでてくるのかもしれない。暇になる人というのは、Frey & Osborneのいうような職域による差もあるが、それとともに考慮すべきなのは個人の能力と志向性なのだと思う。