改めて経験工学を 3. その展開

黒須教授のユーザ工学講義 (5月10日)

既存の人工物が持つ多様な機能を分析するのではなく、その中の特定の機能や目標達成に着目し、その機能が実現しようとしていたコトに置き換え、そこから分析を出発させることが良い。特定の製品やサービスではなく、本質的なユーザ経験の改善を目指すこと、これが経験工学のアプローチである。

このキーワードについて

人工物進化学とは「どのような理由で、特定の目標達成を支援するための人工物が作られ、改変され、現在に至ったのかを考え、その合理性や妥当性を考え、さらに改善すべき点を考える」もので、黒須教授が提唱しています。以前、黒須教授は「人工物発達学」と呼んでいました。

改めて経験工学を 2. 等価性にもとづく工学

黒須教授のユーザ工学講義 (4月18日)

設計担当者が切り出した目標達成には提供可能性というバイアスがかかり、ユーザ当人もそうした制約条件を無意識的に自分に課している可能性がある。近未来の開発につなげるには、そういった制約条件を頭から排除して、ユーザの目標をじっくり分析し、それを実現しうる等価な人工物を考えることが必要なのだ。

「改めて経験工学を 1. 従来の産業のあり方を見直す」の記事画像

改めて経験工学を 1. 従来の産業のあり方を見直す

黒須教授のユーザ工学講義 (4月5日)

ユーザビリティからUXに関係者の視点が移り、経験という視座から身の回りのあらゆることを見渡そうとするスタンスがでてきたことは喜ばしい。人間の行動は単に機械的に目標を達成すればそれで完了ということではなく、人間がその行動を通して内面的にどのような経験をするかということが大切だからだ。

人工物の想定外利用

黒須教授のユーザ工学講義 (2015年12月25日)

想定外使用は、設計プロセスで予測できるものかというと、多分けっこう難しいものだと思う。となると、そうした利用法を発見するためにはUX調査、つまりユーザが実際の生活のなかでその人工物を利用し始めてから行う調査が必要だろう。

「心理学とUCD(前編)」の記事画像

心理学とUCD(前編)

黒須教授のユーザ工学講義 (2015年10月30日)

日本心理学会の全国大会には「公募シンポジウム」という枠があり、勉強するにはとても良い機会だ。今年度、僕が指定討論者として参加した「衣食美心理学の可能性」の内容を紹介したい。僕自身は人工物進化学の観点から心理学に対して問題提起をした。

「いつもの生活を振り返る」の記事画像

いつもの生活を振り返る

黒須教授のユーザ工学講義 (2015年8月17日)

忘れられた日常の事柄の中には、意識されなくなった諦めの気持ちも含まれる。日常生活の中で意識されなくなっていた願望に気づき、それを顕在化させた人々の執念が作り出したものが、人間の日常生活を取り囲んでいる人工物であるということができる。

失われる職域

黒須教授のユーザ工学講義 (2015年5月25日)

コンピュータの進歩によって仕事を奪われて「暇になってしまう」人々がでてくるのかもしれない。暇になる人というのは、Frey & Osborneのいうような職域による差もあるが、それとともに考慮すべきなのは個人の能力と志向性なのだと思う。

人工物の進化と人間の軟弱さ

黒須教授のユーザ工学講義 (2015年5月22日)

技術革新は両刃の剣であり、安楽を提供する代わりに人間の能力を奪う結果をもたらしている。それは肉体的な面に留まらず、精神的、知的な面にも現れてくることだろう。

「日本の製造業は生き残れるか」の記事画像

日本の製造業は生き残れるか

黒須教授のユーザ工学講義 (2014年12月24日)

新しい市場を育てるためには、人々の生活を既存の言葉をつかわずに新たに再カテゴリー化し、その新しいカテゴリーに属する人々の行動領域をもっと有効に効率的にするためにはどのような人工物による支援が望ましいかを考えることだ。

人工物発達学のアプローチ(3) 意味性との関係

黒須教授のユーザ工学講義 (2014年7月7日)

ある製品やシステムが市場から消えた理由にはたくさんの可能性が考えられるが、失敗分析というのはそれを値付けやデザインのせいにすることではない。その製品やシステムが本質的な目標達成にどれだけ関わっていたかを考えることであり、その意味で、人工物発達学の視点は有効であると思う。